秋と春か夏か冬 05話〜『今と昔と古傷の…』〜-1
夏輝が転入してきてから数日がすぎ、騒がしい毎日にも慣れ始めた日のこと。
「さぁ次は体育だぁ♪♪恭介、はやく着替えよ?」
「男と女は別に着替えるに決まってんだろーが」
「むぅ〜冗談だよー!でも恭介になら裸見られても…良いかも♪」
「ぶっ!!!ば、馬鹿なこと言ってねーで早く行け。時間なくなるぞ」
夏輝のは冗談に聞こえんから始末が悪い。
「恭介、次の体育はその……バスケなんですが……大丈夫ですか?」
めずらしく歯切れの悪い理緒。
…ったく、心配は嬉しいが気ぃ遣うなって。
「大丈夫だ。授業でやるバスケくらいなら」
「…無理しないでくださいね」
体育はA、B組と合同でやる。
すなわちロン毛たち……拓也も一緒だ。
「ふっふっふ……数々の種目で恭介には煮え湯を飲まされてきたが、お前に黒星をつけられるスポーツがやってきたぜ!!!」
何かと挑んでくる拓也。
「ねぇねぇ何の話?」
聞いてくる夏輝。
説明しよう
この学校の体育の授業では、競技が変わる度…最初の授業に試合をする。
ようは最初はそのスポーツをやってみましょうと言うことだ。
その授業で、もはや恒例となった恭介VS拓也。
これは1年の時も隣のクラスだったため、もはや恒例となっているのだった。
ちなみに拓也と出会い、知り合ったのも体育の授業である…それはまた別の機会に。
「理緒ちゃん。今までの対戦成績は?」
「えっと…15勝4敗6分で恭介が勝っていますね」
何やらメモをとりだし、答える理緒。
恭介も拓也も、ずば抜けて運動神経が良い。
だが恭介の方が一枚上手といったところだ。
(理緒も良いが二人より背が低いぶん、差がでてしまう)
「またやんのかよ。めんどくせーな」
「ちくしょう!その余裕が気にくわないんだよ」
ちなみに恭介が負けた競技は1500m走、バスケ(去年)、テニス、卓球の4つである。