秋と春か夏か冬・番外編 4.5話〜『夏が混ざる日常』〜-2
「恭介も駄目だよ。デビューしたらすぐ人気者だろうけど……モテすぎちゃうから♪今でも学校では十分モテるみたいだし…」
いや、デビューする気なんて俺にもない。
「あっ、可愛い娘との自己紹介が途中だった!ぼく空色 夏輝。夏輝って呼んで♪」
「……あ…春野 香織…C組です。呼び方は……その…任せます」
モジモジしながら答える。
「恥ずかしがり屋なんだね♪よろしく香織」
「こちらこそ…よろしくです……夏輝…ちゃん」
うむ、よくやった香織。
「あんた父親のつもり?」
…お前はエスパーか…。
「春野に夏輝…春と夏だね♪お互い仲良くなれそう」
「…はい♪」
そう言って笑い合う夏輝と香織。
「そーいえば恭介も秋津って名字だから秋だな!…これで冬がいれば完璧じゃねーか♪誰か知り合いにいねーのか?」
そう言って笑う拓也。
「…そうだな」
恭介も少し笑う。
だが3人…恭介と理緒と鈴音は心当たりがある。
(美雪…)
(美雪さんか…)
(…そういえば美雪の名字も……)
「なにバカなこと言ってんだよ」
拓也に言う恭介。
「…さっ、早くご飯食べないと昼休み終わっちゃうわ。ただでさえ誰かさんが渋ってたせいで、夏輝が来るの遅れたんだから」
相変わらずの鈴音の勘の良さと気遣いに、笑ってしまう恭介。
ぞくッ!!!
だが、すかさず殺気を感じ頭をずらす。
ヒュッ! グサッ!
俺の目の前に何かが通って地面に刺さった。
「……殺すつもりかよ」
地面にフォークが刺さっている…コンクリートに刺さるものなのか?
「当然でしょ。殺すつもりで投げたんだから…笑うからよ」