秋と春か夏か冬03話〜『昼と呼び名と弁当と』〜-6
「ぁ…あの………秋津くん…」
「ん?なんだ」
「わ…わたし……香織って言います」
??何をいまさら。
「知ってるよ」
「わたしは…香織って言います……染井くんは香織ちゃんって言います……北条院さんはカオリンって言います……青柳くんは香織さんって言います」
そこで区切り…少し寂しそうに言う。
「…でも……秋津くんは春野…」
やっとわかった。
…いまさら呼び名を変えるのは恥ずかしい気もするが…俺はこいつに、こんな顔をしてほしくない。
「悪気はなかったんだ。それよりずいぶん遠回しな言い方なんだな…香織」
そう言うと春野は顔を上げ、とたんに笑顔になる。
うん…この笑顔を見たい。
「…秋津くんは香織って言います‥♪」
嬉しそうにそう呟く。
そこで俺からも言う。
「なぁ香織」
???
春…香織は首をかしげる。
「みんなは恭介って言います。でも香織は秋津くんって言います」
真似しながら応えた。
香織は少し考えて…顔を真っ赤にして言う。
「…ゎ‥わたしは……恭介くん…って…言います」
次の日の昼休み。
もはや定番になった5人での食事。
昨日あれから練習したことを実践する香織。
「‥拓也くん…鈴ちゃん…理緒くん……こんにちは…」
香織は恥ずかしそうに言った。
「ん香織ちゃぁぁん可愛いすぎるぜ♪♪ついに名前で呼んでくれたな」
オーバーだおまえは。