死の抗い〜始動と屍動〜-5
俺達が家を出発してから十数分後
啓の父と早紀の父親は神妙な面持ちで隣の部屋から居間にやってきた。
「やはり予言の日は今日だったのか。」
「ああ、早紀や啓君にも信じるのも難しいだろうが、言い伝えを話しておくべきだろう。」
「そういえば啓達はどこへ行ったんだ?」
机の上のメモが啓の父の目に写った。
「『啓くん達と学校近くの山まで行ってきます。夕飯前までには帰りますので心配しないでね。』……何だとっ!?」
「これはまずいな、黒須君。すまないが念のため神具を持って追ってくれ。私達はもしもの時のために時間を稼ぐ…早紀を頼む。」
「ああ。しばらく会えなくなるが…死ぬなよ。」
そう言い残すと啓の父−黒須辰司(たつじ)は家を出た。
場所が変わって啓達のいる山の中
「この辺じゃなかったかな〜、もしかしたら迷っ、グハッ。」
「お前が適当に突っ込むからだろ。」
察しの通り馬鹿のせいで迷ってしまった。俺はこの土地は久しぶりのため、ムカつくこいつを殴ることしかできない。
「う〜ん、どうしよう・・・。あっ、あれじゃない?」
悩んでいる早紀の目に入ったのは、ひっそりと佇む洞窟だった。
秘密の湖とはこの洞窟の中に清水が湧き出ていてたまっていたのを見つけたのだ。
「よっしゃ、一番のり〜!!!!」
そう言い拓海が走って行った。それに続き、俺達も中に入って行った。
中に入ると昔と変わっていない景色で俺達を迎えいれた。
しかし俺は洞窟に入った途端、さっきまで暑かったはずなのに鳥肌が立ち、寒気が感じられた。
隣を見ると早紀の顔色も悪くなっていた。
だが拓海や友香にはそんな気が微塵も感じられず、上着を脱いで、すでに着てきた水着で水に飛び込もうとしている。