reality ability‐第5話‐西の洞窟、death cave‐-7
‐一方、誑笥の所‐
「‥‥‥」
情熱家の誑笥が真剣な顔で考え事をしていた。意外な事だが仮にも四天王だ。可笑しくはない。‥‥手には首飾りがある。それをただ見つめていた。
しかし、不思議な輝きだ。目が開けられないほどの輝きでもないし、静かな大人しい輝きでもない。また、何かに共鳴している様子もない。
ただただ‥‥静かに何かを待っているような輝き‥。皇希を‥?覚醒の為に‥?そして、この“記憶の欠片”はどうやって造られたのか?‥‥
《この輝き‥‥どこかで見たような気が‥‥‥‥‥そうか。一度だけ見た事があった。“カオス”様の背中の輝きに似ている‥‥‥》
どうやら、“カオス”にも同じように背中が輝いているらしい。そして、もう一つの“真実”があった‥‥。
それはこの輝きが光、敵側だが那奈夜の背中の輝きにも似ている事だ。同じなのか、それとも、似ているだけなのか‥‥。
「‥‥そろそろ、出てこい。お前は誰だ?」
突発的に誑笥が言った。視線は首飾りのままだった。そして、その言葉に反応したかのように人影が薄暗いが見えてきた。
誑笥の近づいてくる人影は皇希‥‥‥ではなかった。手下‥‥?いや、姿が変わっていく。‥‥‥‥見た目は二十代後半から三十代前半の優しそうな顔立ち‥‥。
身体も変わっていく。中肉中背の身体から筋肉質の身体になる。見た目は力で押す方だと思うが、顔立ちを見ると違ってくる。ただ、武に優(すぐ)れていると思う。
「‥‥死神 誑笥。ここで死んでもらう。」
足場に落ちていた剣を拾い上げ、凄まじい速度で誑笥に近づく。
「くっ!」
対する誑笥も近場にあった剣を拾おうと動く。
〈ヒュン!‥〉
が、僅かな差で誑笥の背中にかすり傷が出来た。同時に動けば出来てないはずの傷だった。
〈ズザァァァ!‥〉
誑笥は座った体勢で滑っていく。勢いと傷によるものだろう。しかし、誑笥は剣を拾っていた。
「‥‥一つ聞きたい。貴様は何者だ?」
立ち上がった誑笥は剣を構えて、真剣な声で言った。その様子から余裕はなさそうだ。
「‥‥その問いには答えられない。」
部下だった者は少し間を置いて言った。
「‥‥‥」
誑笥はさっきから目だけは周りを見ていた。何かがあるようだ。