reality ability‐第5話‐西の洞窟、death cave‐-12
「‥‥‥」
「言った理由は気紛れだ。‥‥気にするな。」
「‥‥そうか。」
会話後、二人は静かに歩き始めた。
‐二人の会話の数時間前、集神城内のある一室‐
司樹菜と織音、螺樹がいた。皆は真剣な顔だった。部屋は暗めで異様な雰囲気もあった。
「‥‥久しぶりね、織音?元気?」
司樹菜は真顔の為か、もしくはあの時とは比べ物にならない雰囲気のせいか解らないが、物凄く怖い印象だった。
「‥‥はい、元気です。‥‥お母様‥‥」
いつもの元気な織音ではなかった。螺樹はうつ向いていて、身体は震えていた。一体何なんだろうか?
「‥‥螺樹は下がりなさい?貴方には織音を連れてくるだけの命令だったはずよ。」
「‥しかし‥」
「何?」
「‥‥いえ。失礼します。」
螺樹は何かを言おうとしたが、司樹菜の雰囲気にやられてしまった。螺樹は残念そうに出ていく。
〈ガチャン‥‥〉
扉がゆっくり閉まった。その瞬間、司樹菜は織音の顔を叩く。
〈バシン!‥‥〉
重く乾いた音が部屋を覆った。
「貴女は“神”としての自覚は無いの!?敵に送られてくる恥ぐらい解るでしょう!?」
司樹菜は大きな声だった。目を細め、織音を睨み付けている。
「すみません。」
織音は涙を流しながら言った。左手で腫れ上がった頬を抑えていた。彼女が弱気でいるのは珍しいと思う。
「しかも、“無神”に恋してるようね。」
「っ!!」
司樹菜は険しい表情になり、まるで禁じられた行為をしている口調で言った。対する織音は驚きを隠せないでいた。
丁度、廊下では螺樹が立っていた。気になって仕方ないようだ。すると、一人の影がやってくる。
「‥‥ん?‥‥えっ!?」
螺樹は気が付くと直ぐに驚愕し、驚きを隠せてなかった。
「‥‥貴方がここにいるはずがない‥‥なのに、なんでいるんですか?」
「‥‥おっと、静かにな?螺樹?」
「‥‥は、はい。」
謎の人物だ。いつもと同じようによく見えない。謎の人物は螺樹を静かにさせると直ぐに部屋に入る。