Need/-ed-13
「参ったな…。」
「な…にが?」
「君の顔」
そして、一気に奥まで貫かれた。
「…っ!」
「君の顔、すごく綺麗だ。」
長いため息を、ゆっくりとついた風炎の顔は、とても苦しそうだった。乱れた髪の間から見つめられると、それだけでまた電流が走った。
「動いていいか…?止められそうにない…。」
あたしはうなずいた。あたしの中の風炎が、ゆっくり動き始める。
「あぁ…風炎…っ!」
津波に襲われたような、感覚の中、手がかりを求めて風炎の方に手を伸ばす。彼のものとは思えないほど熱い体があたしを抱きすくめた。
「茜―っ…!」
名前を呼ばれた瞬間、繋がった部分から一気に駆け上がってきた。真っ白な爆発の後、何が起こったのか信じられないまま、ずっと風炎にしがみ付いていた。
「はうっ」
自分の体内から彼のものが急に消えて、素っ頓狂な声を出してしまう。
「今のは?」
おかしそうに風炎が聞く。でも、彼の息も荒い。
「ちょ、ちょっとびっくりしただけよ!」
慌てるあたしに、なだめるようなキスをして彼は言う。
「なんだって構わない。君は君だから。」
笑った彼の金の髪が揺れて…その上に誇らしげにピンと立つ耳が見えたような気がした。
護りたいと思う。失われつつある、彼らの未来を。誰に求められるわけでもなく、誰に頼まれたわけでもない。ただ、これからあたしが生きていく人生で、あたしらしくあろうとするなら…彼らのために力を尽くすのは必要なことで…それこそあたしが望むものだった。
「風炎…」
名前を呼べば、答えてくれるこの人と共に。
「ん?」
「…愛してる。」
そして、その言葉に笑顔で返す彼の瞳にあったのは…後悔でも憎しみでも自愛でも無く…
「愛している。英澤茜…。」
―今までずっと…そして、これからも。永久(とわ) に。