不器用な恋-3
首から下がっている社員証に
雪吉 あい
とかかれていた。へー、ゆきよし…読むんだよな?;
名前初めて知った…
『ユキヨシ君…だね?』
若干カタコトになっていた。
『は…はい!』
『そうか。』
とりあえずなにか返さなくては…
『仕事が終わったら、社長室に来なさい。話がある。』
とっさに出た言葉がこれだった。もっとほかにあるだろー…
『え…?あ…!はい!わかりましたっ』
へ?
おう。
そりゃくるよな…。社長の命令だし。
取り合えずは夕方までに用事を考えればいいか…
『…長…社長!急ぎましょう』
部下が呼んでいた。
へ?あ…やべ…俺これから名古屋だった…夕方までにかえってこれんのか?
『おぅ!急ごう。』
〜〜〜
やば…もう22時になるよ…
待ってるのか?…あの女は。居るわきゃね〜だろってな。
社内はまだ明かりがついている。
エレベーターのボタンを押すと、すぐに扉が開いた。
社長室のある最上階へは一度も止まることなく上がった。
こんなに遅いというのに、まだ秘書課は働いていた。
『おかえりなさいませ』
『お〜。お前らってさ。いつもこんなに遅いの?』
『いいえ、本日は…』
秘書は手のひらを秘書課のソファーの方へ傾けると、その先にはあの女が立っていた。
『よぅ。わざわざこんな時間まで待ってたのか。』
内心ドキっとした…待ってたことに正直驚いたけど。社長の命令は絶対ってやつだな。
『はい!お、おつかれさまで…ございます。』
『ぷっ。そんなにかしこまるなよ。社長室、はいって?』
一度社長室に入ろうとして俺は振り返り、
『お前ら…かえっていいぞ。』
と秘書に伝えた。なに考えてんだ…俺は…