恋人達の悩み4 〜夏一夜〜-14
「あ……そろそろ、寝よっか?」
「んぁ……まだ大丈夫」
とは言うが、かなり眠そうな様子だ。
空いたお腹はおいしいご飯で満たしたしお風呂にも入ったし遊んだから疲労もしたし、美弥も眠る事に異義はない。
「いいよ。寝よう?」
言って、美弥はバスローブを脱ぎ捨てる。
龍之介を悩ませるその中身は湯上りの柔らか素肌と……胸と腰をしっかり覆う下着。
襲いたくはない。
襲いたくはないのだが……内心全裸を期待していた龍之介は、ちょっぴり落ち込んだ。
美弥は寝間着を着込み、部屋の明かりを暗くしてから龍之介の隣へ体を滑り込ませる。
龍之介は美弥を抱き寄せると、気付かれないようにふがふがと鼻を鳴らした。
鼻をくすぐるボディソープの残り香が堪らない。
こんな風に考えた時点で理性が保てなくなるのは八割方確定してしまうのだが、もうなるようになれと開き直った龍之介である。
美弥としては自分がどうしてこんなに理性がプッツリいって襲いかかるのかさっぱり分かっていないだろうが、検分してみるに無意識な行動の端々でこちらを誘惑しているのだ。
当人に自覚がないので行動が改まる訳もないし、龍之介としては言うのが惜しい気がして何となく言えない。
「……ね」
眠気も吹っ飛ばしてあれこれ考える龍之介の寝間着を掴み、美弥は尋ねる。
「ん?」
「今日……楽しめた?」
唐突な質問に、龍之介はきょとんとした。
「ほら、瀬里奈も気ぃ使ってくれたけど、どっこも人だらけだったし……せっかく遊びに来たのに、龍之介の事ほったらかしちゃったような気がして……」
いかにも申し訳なさそうな口調で喋る美弥に対し、龍之介は笑顔と抱擁で応える。
「大丈夫。僕は僕なりに楽しんだから」
意識的に見ないようにしていた瀬里奈の水着姿はともかくとして、美弥の水着姿は貴重だった。
何しろ去年の今頃はろくな挨拶すらできず、体育の授業中に気付かれないようこっそりとスクール水着を覗き見していたのである。
まるっきり変態のような行動だが、こうでもしないと美弥の姿を拝めなかったのだから致し方ない。
それが今では堂々と水着を取り払った肢体を眺める事も思う様に貪る事も許されているのだから、いやはや何と恵まれている事か。
「ならいいけど……」
龍之介が目尻と鼻の下をびろーんとさせていると、美弥がそう呟く。
とは言ってもやはり気になるようで、美弥は寝間着を掴んだままでもじもじしていた。
「しょうがないなぁ……」
龍之介はため息をつき、美弥の顔を上げさせる。
ちぅ。
唇にキスすると、美弥はすぐに応えて来た。
「ん、ふ、むぅ……」
甘く鼻を鳴らしながら、何度もついばむように唇を重ね合う。
「……はぁ」
しばらくしてから唇を離すと、美弥がぎゅっと抱き着いて来た。
「……そんな事、気にしなくていいから。大丈夫」
華奢な体を抱き返しながら、龍之介はそう言う。
「……ん」
そう言ったにも拘らず、美弥はやっぱり寝間着を掴んでもじもじしていた。
「……どうかした?」
あんまりもじもじしているので、龍之介はそう尋ねる。
美弥は潤んだ上目使いで龍之介に訴えかけた。
「まさか……………………キました?」
こくっ、と美弥は頷く。
「あぁ……襲わないようにしてたのに」
るー、と涙しながら龍之介は美弥へディープキスを仕掛けた。
肌を合わせる時はほとんどの場合互いの部屋のため、何となく気後れしていたというのに。
「ふ……ん、ん、あ、はぁ……」
舌を絡め合いながらも待ち切れないらしく、美弥は体を擦り寄せて来る。
いつになく積極的なこの様子からすると、もしかして生理が近いのかも知れない。
龍之介は爪で首筋を引っ掻きながら、余った手で服の上から乳房を鷲掴んだ。
「ふンッ……!」
びく、と美弥が震える。
「あ、はぁ……!ん、もっと……!」
龍之介が耳や首を愛撫しながら両手で乳房を揉みほぐすと、美弥は悩ましく体をくねらせた。
「ん……」
龍之介はゆっくりと寝間着と下着を脱がせ、直に乳房へ触れる。
すべすべのぷるぷるで何度愛しても全く飽きの来ない膨らみが、呼吸に合わせて柔らかく上下していた。
「はぁ……っ!」
堪らなくなってベージュピンクの乳首に吸い付くと、美弥の肩がびくっと震える。
乳房を念入りに揉みほぐしながら乳首を交互に舐め回し、龍之介はその感触を楽しんだ。
「んうぅ……!あ、やぁん……!」
ふと視線を落とした美弥は、自分の胸の状態に気付く。