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伊藤美弥の悩み 〜受難〜
【学園物 官能小説】

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恋人達の悩み4 〜夏一夜〜-13

 年に合わないエレガントなデザインの水着を着た瀬里奈と、女の子らしい可愛いデザインの水着を着た美弥。
 実力勝負の美人コンテストにでも出場したらぶっちぎりで優勝しそうな美貌を持つ瀬里奈の横に並ぶと、可愛い部類に入るという程度の美弥の容姿は引き立て役になってしまう。
 相当な美人でもない限り引き立て役にしてしまう瀬里奈だから、横に並んで較べられるのが惨めだと今まで友達が極端に少なかったのかも知れない。
 デッキチェアに寝そべった龍之介は、プールに浸かってきゃあきゃあ騒ぐ三人を見ながらそんな事を考えていた。
 紹介が遅れたが、三人目は瀬里奈の新しい彼氏である。
 確か山科(やましな)という名前で、年は二十歳前後だろうか。
 人生の重みを知ったロマンスグレーの紳士と思しき人物だった元カレとは正反対の、明る過ぎて軽薄な感じの漂う人物である。
「……ね、瀬里奈」
 山科から少し離れた場所へ瀬里奈をおびき出した美弥は、率直に疑問をぶつけた。
「前の彼氏の好みからすると、今度の人ってずいぶん若いのね」
「別に、付き合うって決めた訳じゃないわ」
 小さな声で、瀬里奈は返す。
「今はお試し期間中。あっちから言い寄って来たんだし、じっくり検分しておかないと」
「ふぇっ……」
 ロマンスグレーの紳士と不倫の恋を展開していたとは思えない慎重さに、美弥は声を出していた。
「ああいう地位も名誉も家庭もある男と恋した後はね、慎重過ぎるくらいでちょうどいいのよ」
 それを察したらしく、瀬里奈は言う。
「たいていの男は前の男よりそれらのレベルが低いんだから、取り柄は若さと×××だけなんてカス掴まないためにもね」
 言葉は猥雑でかなりきついものの、どうやら慎重なのではなく堅実なだけのようだった。
「それにああいう分別臭いトシの男の後は、ある程度若いので口直ししなきゃやってらんないわよ」
「そういうモノなの……」
 今は龍之介しか目に入らない美弥としては、何となく釈然としない。
「さぁね。世の中は十人十色、千差万別。あんたにはあんたの恋愛スタイルがあるんだから、彼氏と一緒にそれを貫けばいいの。あたしはたまたま、こういうスタイルだっただけ」
 人生の深淵を垣間見せた言葉に、美弥は目を丸くする。
「せ、瀬里奈……ふ、深いわ……」
「伊達に不倫してた訳じゃないわよ」
 そういう風に言われてしまうと、美弥は頭を抱えたくなった。
 ここまで深いお付き合いをしたのは龍之介が初めてなので、もしかしたら自分が変なだけなのかと思ってしまう。
 他の人は、もっとでろでろべろべろの泥沼恋愛関係を勝ち抜いてでもいるのだろうかと考えてしまうのだ。
 まあ、自分達も泥沼恋愛と言えなくもない。
 想いを通じ合わせたその時は複数の男に拉致されたというショックで混乱し、龍之介の気持ちなど全く知らないままに、『好きかも知れない』などという曖昧な言葉でぽろっと告白してしまっている。
 その告白を受け入れてくれた龍之介は必死こいて理性のカスを搾り出していたものの、股間はむっくり起き上がって簡素かつ的確に欲望を表明していた。
 そして当の龍之介が我慢しようとしている行為に美弥はOKを出し、付き合い始めて一時間と経たないうちに体を重ねてしまったのである。
 思い返せば、かなりぐだぐだな状況だ。
 まあ、その後はいたって順調な付き合いを続けているし……問題はたぶん、ない。


 一日たっぷり遊んだ後は、山科のおごり(&瀬里奈の脅し)でアクアランドのホテルへ泊まる事になった。
「ここまでお世話になっちゃっていいのかなあ?」
「いいんじゃないの?彼女の期待に応える懐が深くて財布の豊かな男になりたいなら」
 どこか投げやりに、さっさとベッドへ横たわった龍之介は言う。
 湯上りの体にバスローブを羽織った姿で健康的な色気を振り撒く美弥へ襲いかかりたくないので、龍之介はそっぽを向いていた。
「……なるほど」
 そんな龍之介の考えに気付かず、美弥は感心した声を出す。
 うまくコトを運べば付き合えそうな瀬里奈はともかくその友達まで自腹を切って泊めてしまうとは……確かにお財布の中身が豊かでなければできないだろうし、そういう意味では男ぶりのアピールに……なるのか?
 宿泊費は自腹を切るつもりだった美弥は頭を悩ませたが、龍之介が欠伸をしたのでふと我に返る。


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