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青い記憶
【青春 恋愛小説】

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青い記憶-3

「うわ、タオル忘れた」

九月下旬やのにまだ暑い。体育の後はさらに暑い。


「あ、俺の貸さへんから」


隣で西脇が先読みして言う。俺は舌打ちをしながら教室までの廊下を逸れた。


「陸、どこ行くん?」

「だるいしサボリ!臨機応変によろしく〜」

「はいはい」


聞こえてくる授業中の教師の声。
チョークの音。
笑い声。

生ぬるい風が通り抜ける。

体育館裏の影で一休みしようかと授業中の廊下をふらふらしてると、またしてもあの声が俺を呼びとめた。


「こら、陸!」

「……美幸か」

「授業はどうした?」

「暑くてやってられん」


眉を下げて呆れた顔をする美幸は「ちょっとおいで」とクーラーのきいた涼しい部屋の中へ手招きした。

部屋の中に入った俺は椅子に浅く座り一息ついた。


「教師はこんな涼しい部屋でいいよな〜」

「はい、これ貸したげる」


美幸は青のチェック柄のタオルを俺に差し出した。

無言のまま差し出されたタオルを見ていると…。


「何よ、まだ使ってないって!」


と、少し頬を膨らませて言う美幸に小さく俺は笑った。

美幸は催促するようにタオルを差し出す。


「体育やったんやろ?」

「どーも」


きれいな白い手からタオルを受け取った俺は額の汗を軽く拭い、首に巻きつけた。

美幸は背を向けるようにパソコンの前に座る。


「あ、このタオル…」

「何?」

「美幸の匂いする」

「……はぁ?!!」


美幸は半笑いで顔をこちらにむけた。


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