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サクラゴコロ
【コメディ 恋愛小説】

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サクラゴコロ第一話〜黒い策略とうれし涙〜-7

「待って、詩織。あの時、詩織を避けていたのは、詩織が、俺を、俺だけを見てくれなくなることが、耐えられなかったからなんだ。その時は、理由が分からなかった。でも、今は、4年たった今なら、分かる。詩織、俺は、お前が好きなんだ。自分の気持ちにも、4年たたなきゃ気付かない、鈍感な俺だけど、付き合ってほしい。いや、付き合って下さい」
その時、水滴が落ちた。雨ではない。詩織の目からこぼれた涙だった。
「やっぱり、こんな鈍感な男嫌か?」
詩織が、俺の胸にとびこんだ。
「バカね。ホント、鈍いんだから。これは、嬉し涙に決まってるでしょ」
それを聞いて、俺は詩織を、つよく強く抱き締めた。
「ごめん。そして、ありがとう」
気付いたら、俺も泣いていた。
「ふふっ、おかしいね。なんで幸せなはずなのに、二人して泣いてるんだろうね」
「ああ」
俺達はながく永く抱き合った。


「もう、集合時間過ぎてるな」
詩織を抱き締めていた腕を(名残惜しいが)放した。
「ん、そうだね」
「竜馬達待ってるし、行こうか?」
そう言って、手を差しだすと詩織が、握り返してきた。


「修士、遅いぞ」
「ああっ、修士君達手なんかつないで、幸せそうですぅ」「本当ね」
俺達は、パッと手を放した。
「あれっ、修士君赤くなってますね。もしかして、てれてます?」

ドスッ

「だから、からかうなっての」
「痛いよ修士君」
詩織も赤くなっていたが、夕日のせいだけではないだろう。
「じゃあ、修士のおごりで、飯食いに行くか?」
「なぜ?」
「うまくいったら、飯奢るって約束したろ?」
「全員にとは、聞いてないぞ」
全員に奢ったら、有り金全部なくなってしまう。
「あれ、晶達は仲間ハズしにするの?冷たいなぁ」
「くっ」
素早く、財布の中を見る。諭吉が一人だ。
「しょうがない。ただし、一人1500円までな。それ以上は出せん」
「じゃあ、それ以上はワリカンで。じゃあ、行くぞ」


一通り騒いだあと、おもむろに、竜馬がビデオを取り出し、マイクをつかんで言った。
「今から、本日のメインイベントを始めるぞ!いくぞ、再生スタート」

俺の一世一代の告白の瞬間が、流され始めた。

「おい…竜馬…、これはどういうことなんだ…」
「だって、こんな面白いこと、保存しておかないともったいないだろ?お前の告白シーンだと、売れそうだし」
「ほー、余程死にたいらしいな」

ゴキン、ゴキンと指を鳴らす。
今の怒りだったら、スーパーサ○ヤ人にもなれそうだ。
「ちょっちょっと待て!消す消すから、許してくれ!」
「もう、無理だ。その前に俺が、お前を消すからな!」

ドスッゴフッボフッガツッ

竜馬の血が飛び散るが、知ったこっやない。
生きる屍と化した竜馬のズボンから取り出した財布から、カラオケの料金を支払った。
「お、鬼」
「自業自得だ。馬鹿野郎。それに、お前の金で支払ったのは、ワリカンの部分だけだ。本当の鬼なら、全部お前の金で支払ってるっての」


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