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サクラゴコロ
【コメディ 恋愛小説】

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サクラゴコロ第一話〜黒い策略とうれし涙〜-6

「あっ、ああ、大丈夫…」
どうにか立つが、足がふらつく。
三人くらいにぶつかりながら、なんとか出口まで行く。

やっとの思いで、ベンチに座るが、まだ視界がゆがむ。
「修士って、そんなにジェットコースターだめだったの?」
水を差し出しながら、詩織が聞いてきた。
「ああ、小学校以来だ。前回も失神してる」
ジェットコースターに、乗るのは二度目だ。一度乗って以来、トラウマになっている。
「へ〜、知らなかった」

こんな、恥ずかしいこと、言えるはずないだろ…

「もう、大丈夫?」
「まだ、ムリっぽい」
まったく、足に力が入らない。
「しようがないな。横になりな」
そう言って、隣りに座った詩織は、膝のあたりを、ポンポンと叩いた。
「いい、大丈夫」

膝枕なんて、恥ずかしいことできないって。

「さっき、ムリって言ったじゃん。いいから寝ろ」
そう言うと、詩織は、俺の頭をつかんで、自分の膝へと倒した。
「修士って、いっつも意地はるんだから」
そう言うと、ウフフと優しく笑った。

好きな人に、膝枕をしてもらうのは、俺の中で夢の中の一つだったのに…
こんな状況じゃあ、嬉しさ九割減だよ…はぁ〜

十分くらい横になっていると、だいぶ回復してきた。

「もう大丈夫?そろそろ私も、先へ行かないと」
「ん、もう少し、フトモモ気持ちいいから」
「…あんた、変わったわ…」
「クククッ」
「フフフッ」
「って、る○剣」
そう言って俺は、起き上がった。


「こうやってふざけあったりするのって、懐かしいね」
「そうか?」
「修士、中学の時くらいに、私を避けてた時期あったじゃん」

そうだ。中学に入ってすぐぐらいから、毎日のように、部活の山口先輩はカッコいいとか、同じクラスの織田君は優しくてステキとか言っていた詩織を、俺は避けていた。
決定的だったのは、山口と付き合うといううわさを、聞いた時だった。

「あの時、さびしかったんだよ…本当は…」
「その時、山口と付き合ってたんだろ」
「やっぱり、あのうわさ信じてたんだね…」
そう言うと、詩織の目が悲しげに動いた気がした。
「付き合ってなかったのよ、山口先輩とは」
「そうなのか?」
「あのうわさは、山口先輩が自分で、流したものよ」
「なぜ?」

なぜそんなうわさを、流す必要がある。

「付き合ってほしいって言われたのは本当よ。でも私は断ったわ。そうしたら、あんなうわさ流されて、毎日のように、しつこくせまってきて…」
「知らなかった…」
詩織が、そんなに苦しんでたなんて。
「そんな顔しないでよ…。もう、昔のことなんだから。そろそろ、時間だし行こうよ」
そう言うと、詩織は立ち上がった。

ここがチャンスだ。言わなきゃ。


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