サクラゴコロ第一話〜黒い策略とうれし涙〜-3
「よしっ!いこうか!」
みんなから拍手をもらい満足した様子の竜馬が言った。
桜ヶ丘駅から、シーランドがある桜ヶ浜駅までは、電車で二駅だ。時間にして15分くらいの移動だ。
今日は、休日と言うこともあり、電車の中はかなり混んでいた。しかたなく俺達は、二人づつに別れて乗ることにした。
ガタンッキッ
急に電車が揺れた。
トン
「おい大丈夫かっ?」
倒れ掛かってきた詩織を受け止めた。
「ええ、大丈夫」
って詩織!?胸が、胸が当たってるよっ!
やばい!意外とある。
とりあえず、自分の身体と腕でつくった空間に(もったいないが)身体を入れ替え詩織を入れる。
「これで辛くないか?」
「うん。アリガト修士」
詩織がハニカんだような笑顔を浮べて上目遣いで答えた。
ダメだ!理性がもったいない…
抱き締めたい…
―桜ヶ浜〜桜ヶ浜〜お降りのお客様はお忘れ物のないようご注意下さい―
「あっ着いたね」
助かった…
でも、もう少しこうしていたかったな…
「そだね。降りよっか」
乗客どもをかき分けて降りる。
「ガイドさん。先にどちらに行くんですか?」
「では、本日の説明をさせて戴きます。着きましてから、お昼までが、全員で水族館のほうを見て戴きます。昼食を挟みまして、遊園地の方で、二人づつに別れて自由行動とさせて戴きます。では、皆様遅れないように付いて来て下さい」
まるで安いコントだ。
「「「カッワイイーーーー」」」
トコトコと歩いているペンギンやシロクマ、アザラシなどを見て詩織たち三人が叫んだ。普段無表情な真由も、目を輝かせている。
「来て良かったよな」
全くだ。
女の子の楽しそうな顔を見るのは、嬉しい。
「華椰に惚れるなよ」
ない。
「真由もダメだよ」
それも、ない。
華椰も真由も、女性としても、人間としても、魅力的だ。しかし、あえて言おう。俺の中では、詩織にはかなわない。と。