サクラゴコロ プロローグ-2
「今日は詩織と一緒じゃないのか?」
「詩織なら、途中で用事があるとか言って先に行ったよ。」
「そうか…。生徒会の事で聞きたい事があったんだけど仕方がないな…。ところで、今週の土曜日暇か?」
「空いているけどどうした?」
「実は、シーランドの来週までの無料券が8人分あるからどうかなって思って。」
シーランドとは隣町にある遊園地と水族館が一緒になった巨大テーマパークだ。
「ああ良いよ。だけど他は誰が行くんだ?」
「一応決っているのは、俺とお前と詩織。それに華椰(カヤ)に晶(アキラ)と真由(マユ)だな。」
華椰とは同じクラスの女の子で、竜馬の思い人だ。晶と真由は、隣りのクラスで俺達とよく一緒に行動している。
「いつものメンバーだな。あとの二枚はどうするんだ?誰か呼ぶのか?」
「いや、弟達にあげようかと思っている。」
「わかった。時間とか決ったら、メールくれな。」
「おーけー。」
そう言い残すと竜馬は、生徒会室があるA校舎へと消えていった。また一人残された俺は、自分のクラスがあるB校舎へと歩を進めた。
自分のクラスについた俺を待っていたのは、俺の席を占領する敵軍の姿だった。
「おはようございます修士君。あっ、席今空けますから。」
占領軍参謀の華椰は、俺の姿を見ると席を移動しようとした。
「いいよ、そのまま使っていても。ただ荷物だけは置かせてくれ。」
自分の机のフックに中身の少ないカバンををかけた。
「あら、この席使うの?」
占領軍総大将の真由がおかしな事をいってきた。
「自分の席を使ったらだめなのか?」
「だってあなたが朝イチから来るなんて珍しいじゃない?」
「ああそういうことか。出席日数がやばいからなぁ、出ておかないと。」
「そうなの?大変ね。私は自分のクラスに戻るけど、しっかり授業受けるのよ。」
そう言うと真由は行ってしまった。俺はそんなに信用できないのかっ!!まあ、仕方ないか。
ガラガラッ!
「席についてるか〜?」
担任で社会科担当の生駒 圭介(イコマ ケイスケ)29歳(既婚)がやってきた。
「よし!全員そろっているな。今日も連絡事項は特にない。強いて言えば再来週の期末頑張れよ、くらいだな。以上で朝のHRは終了だ。」
大抵朝のHRはこんなものだ。する必要があるとは思えないが…。まあ、生駒は嫌いではないからいいが。
授業はまったくもってつまらん。参考書を丸写しする、数学の担当教員。目茶苦茶な発音で話す英語の担当教員。等々。結局午前の授業は惰眠を貪る事になった。
「ふゎぁっ、やっとお昼か。さて飯でも食べるか。」
俺は、いつも一緒に食べる竜馬を探した。
「お〜い竜馬、飯食おうぜ!」
「悪い修士、生徒会のミーティングがあるんだ。」
そう言うことなら仕方がない。しかし、そうなると同じ生徒会の詩織はダメだし、華椰に真由、それに晶は食堂だしな…。
「しようがない…。一人で食べるか…。」
仕方なく一人寂しく昼飯を食べることになった。
俺は、飯を食べたあと一人屋上にてラッキーストライクを吸いながら物思いにふけっていた。
「オイッ!なにしてんだ!?」
「あっっそのこれはそのっ………ってなんだよ竜馬か。」
正直あせった。竜馬じゃなかったら2、3発殴っているところだった。
「そんなに睨むなよ。軽いジョークじゃないか。」
まあ、俺も大人だし許してやるか。