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BABY BABY
【悲恋 恋愛小説】

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BABY BABY-1

今日も優は朝の占いをチェックしてから家を飛び出す。そこには今日も幼なじみの修太が待っていて優を急かしている。そしていつものように学校に向かう。
今までがそうであったように、これからもずっとこんな日がつづくと思っていた。でも…

高校生になり、二人は別々の高校に通うことになった。
優が家を出ても、もうそこに修太が待ってることはなかった。
慌ただしく学校に行くこともなくなった。

一緒に学校へ行く友達もでき、一人で学校へ行くこともなくなった。優はもう寂しくはないはずだった。
それでも優の心には、小さくすっぽりと抜けてしまったような、そんな寂しさが残っていた。
それが、修太がいない寂しさだということに、優は気がつかなかった。
夏休みに入って、優は久しぶりに修太に会った。修太は昔のように話してくれた。優も昔のように話した。学校のこと、部活のこと、昔のこと、二人はいっぱい話した。
夏休みの間、優は毎日のように修太と遊んだ。宿題も一緒にやった。とても楽しかった。このままずっと夏休みが続けばいいと思った。
それが、修太とずっと一緒にいたいという気持ちだということに、優は気がつかなかった。
夏休みが終わると、優の心にまた小さな寂しさが生まれた。
そんなある日、修太が学校帰りに可愛い女の子と一緒にいるところを見てしまった。二人は楽しそうに話していた。
とたんに、優の心の寂しさが、どんどん大きくなっていった。
優の目からはなぜか涙があふれて止まらなかった。
走って家まで帰り、部屋に駆け込むと、コンポの音をいつもより大きくして、ベッドで声を上げて泣いていた。大好きなバンドのメロディーのなかで優はずっと泣き続けていた。
泣きながら優は、自分の修太に対する気持ちに気付いた。

…私は修太のことが…好きなんだ…

それから何日かして優は家の近くで修太に会った。
修太はいつものように話してくれた。優もいつものように話そうと頑張った。
だが、無理だった。
思いがこみあげてきて、堪えることができなくなった涙が優の目からあふれそうになった。
優は逃げるように走って家に帰った。修太に涙を見られぬように。そしてまた、大好きなバンドのメロディーのなかで泣き続けた。
冬休みになり、新年を迎えた。
優は毎年修太と行っていた初詣も、今年は断って高校の友達と行くことにした。
修太と会わないまま冬休みは終わった。
それでも、優の修太に対する気持ちは強くなっていく一方だった。
優はバイトをはじめた。忙しさで修太のことを考えることも無くなると思っていた。
だが、どんなに忙しくても修太のことを考えてしまい、ただ、虚しさと寂しさが込み上げてくるだけだった。
ある夜、優はバイト帰りに修太に会った。修太は、青いメットをかぶり、白いスクーターに乗っていた。
修太は懐かしそうに話し掛けてきた。
優はぎこちなく受け答えた。
二人は近くの公園のベンチに座って話すことにした。
修太はスクーターを買ったことをうれしそうに話すだけで、優が修太の前から逃げたときのことも、初詣を断ったときのことも聞こうとしなかった。
そんな修太の優しさに、また思いが込み上げてきた。また、逃げ出したくなってきた。
でも、優は逃げなかった。逃げても何も変わらないことはわかっていた。それに、これ以上修太との距離を広げたくなかった。
だから、優は必死に堪えた。


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