その行為は「治療」につき…-3
「茶ぁ飲むか?」
終わりを示す言葉。
だけど―――。
「やだ。まだ足りない」
「……桜木」
困ったような声に千春は俯いた。
分かっている。
佐伯は保健医てはいえ教員で、自分は生徒。
これ以上は、許されない。
「……我が儘言ってごめんなさい。帰ります」
佐伯にとってこれはただの「治療」
触れれば触れるほどもっと欲しくなるわけじゃない。
身を固くしたまま出て行こうとする千春の腕を佐伯は掴んだ。
振り向いた千春の、涙が目一杯たまった瞳に理性が切れた。
「くそ、もう止まらなくても文句言うなよ」
「え…っ!」
何か言おうとした千春を佐伯はベッドに押し倒した。
「先生、待っ…ん」
ベッドに押し倒した激しさとは対象的な甘いキスに頭の芯が痺れる。
唇が離れて、千春はゆっくりと目を開けた。
「待てねえよ。もう無理だ」
ネクタイを粗雑に外しながらそう言うその姿に、何も言えなくなる。
千春に馬乗りになっているのは「佐伯先生」ではなくて、
「佐伯一巳」という名前の24の男で。
千春は「学園の跡継ぎ」ではなく、
「桜木千春」という名前の18の女の子で。
たとえそれがマヤカシの思い込みでも、千春は佐伯に触れていたかった。
「んん…っぁ、…っ」
唇を重ねたまま、服の上から胸を触られて、千春は身体をこわばらせた。
それに気付いた佐伯がふっと口の端を持ち上げる。
「自分から誘っといて緊張してんだ?」
「そんなのするよ…」
手慣れた様子で制服のボタンを外していく佐伯に、千春は赤くなった顔を覆った。