【DOLL:typeN001】-1
『……おはよう…やっとお目覚めだね…ドール…』
裸の私。
白衣を着たあの人。
初めての出会い。
…ジジッ…
場面は変わる。
白い部屋…壁も、机も、椅子も、全てが白い空間。
私はあの人がくれた白いワンピースを着ている。二人はテーブルを挟み、向かい合って座っていた。
『……そうだね……君の名前は“ノア”にしようかな…』
指を組み合わせて私に微笑みかける。その微笑みに私の心は解かれた。
…私だけに向けられる微笑み。
“ノア”
私の名前…あの人にもらった最高の贈り物。
今も鮮明に甦るあの人の声…。
最愛の人。
私だけのマスター…
貴方のために私は……
……ジジッ……
……ジジッ……ブッ……
「……いっ……おいっ…!!いつまで寝ているつもりだ!!」
頭に男の罵声が飛ぶ。
私はゆっくりと目を開ける。
途端にボーイの身なりをした髭面の男の顔が目に入る。
「…早く起きろ…!もう客は来てんだぞ…!!」
身体中が痛い。まだ疲れが癒えていないようだ。
「……はい…ただいま…」
男はしかめっ面をして、部屋を出て行く。
私は重い体を起こす。
必要最低限の家具に、布団が一式、あと仕事に必要なドレスが二、三枚壁につられているだけの殺風景な部屋。その中の一枚を選び、着替え始める。