RYO‐マニラバ!外伝‐-4
大学生へなってからも、舞は相変わらず化粧っけは無かった。そんな舞がオレは好きだったんだけど。
でも今オレの目の前にいる人=舞は、
黒のミニのワンピースにハイヒールを履いて、腰まである髪をぴしっとストレートにブローしている。
そして、メイクもきまっているのだ。
「な、なにっ?!」
あ。
オレは思わず舞に見とれてしまっていたのだ。
「あ‥いや、お前でもそんな格好できるんだなって思って」
「あ、あたりまえじゃん!
だって茜ちんの結婚式だもん!」
そうだよな‥
なに動揺してんだ、オレ。
もう、やめようって決めたのに。
しっかりしろ、オレ!
茜は終始笑顔で幸せそうだった。
すごいよな、結婚って。
そして、もうすぐ母親にもなるんだ。
つい最近まで高校の教室でばか騒ぎしていたように思うのに。
自分も法律上は結婚できる歳になってはいる。
でも考えられない。
誰かを一生かけて幸せにする。
いつか、オレにもできるのか?!
今の恋愛でさえもはっきりさせられないオレが。
舞は隣の席で、泣いたり笑ったり忙しそうだった。
「リョウ!茜ちんと写真撮ろう!」
ドレス姿の茜をキラキラした目で見る舞。
普段は女っけなんてない舞でも、結婚には憧れを持つのだろうか。
「舞、これあたしからのクリスマスプレゼント」
そう言って茜は持っていたブーケを舞に渡した。
舞は自分の手元にきたブーケを見つめている。
そして、涙ながらに「ありがとう」とまた笑った。
そんな姿にドキっとしてしまう。
舞と花束、なんて考えたこともなかった。
ブーケをもらって喜ぶ舞を想像したことが無かった。
ずっと一緒にいたと思っていたけど、まだまだ知らないことがあるんだな。
いつか茜が言っていた。
ああ見えて舞も女なのだ。
泣いて喜んだり、
幸せそうに笑ったり、
まだオレの知らない舞がいる。