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『ぼくをかいませんか』
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『ぼくをかいませんか2 side-K』-2

「ダメ……ブス……デブ……堅そう……」

煙草をふかしながら通りすぎる女をチェック。
なんだかんだ言いつつ、やっぱり外見で女を選んでいる俺…ダメじゃん。

こうして見てると、やっぱり週末の夜だけに一人で歩いてる女の人は少ない。


はあぁぁぁ、やっぱり今夜は野宿かなぁ…ってか、この季節に野宿とか死ぬだろ!?


一時間座ってただけで凍えそうになった。

マジ無理!これ以上は凍死する!!

俺は勢いよく立ち上がった。




その時。


向こうから歩いて来る一人の女。
うなだれて、足を引きずるように歩いている。
下を向いているからはっきり顔は見えないけど、長い綺麗な髪。センス良く着こなしたスーツ。膝丈のスカートからのぞくすらりとした足。
何より全身に纏っているあの淋しそうな空気。


俺の中の何かが告げる。
それは確信。
“この女で決まりだ”

俺は煙草を足元に捨て、踏み消した。





「僕を買いませんか?」

俺は言う。いつもの様に。目の前の女が俺を欲しがる様に。
年上女が好きな“守ってあげたくなる男の子”をつくりあげる。

女は顔を上げた。

ラッキー、美人だ。

黙って俺を観察する(…いや、呆気にとられてる?)瞳が大きく見開いている。

何があったのだろう…その瞳は泣いていたかの様に真っ赤だ。
まあ…俺には関係ないけど。
俺にとってはこの女に何があったかより、今夜の寝床を得る方が大事だからね。


「おねえさん、僕を買いませんか?」

固まったまま俺を凝視する女に、俺はもう一度言った。

女は黙って俺を見つめる。赤くなった目で。何かを探す様に。俺の瞳の奥を見つめる。


何とか言えよ…

見透かすような女の目線が、居心地悪い…


「……」


無言。
これは…無理か?



「いいよ、うちで飼ってあげる」



え?マジ?
正直ダメだと思ってたから、ちょっとビビる。

でも…
なんか今、俺の言った『買って』とニュアンスが違ったような気が…
でもまぁいいか。


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