投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

平和への道のり
【アクション その他小説】

平和への道のりの最初へ 平和への道のり 47 平和への道のり 49 平和への道のりの最後へ

Ethno nationalism〜契り〜-12

ー夕方ー

藤田は部屋で目を覚ました。

「…つい眠ってしまったか……」

昼食を摂った後、部屋の暖かさにうたた寝をしていた。
いつもなら喫茶店で過ごすのだが、昨夜の件で顔を出しずらい。

仕方なく出前を取って済ませたのだ。

自販機で買った缶コーヒーを口にする藤田。

(あまり旨いモノじゃないな)

戦地などでは、飲まなくともなんとも思わないのだが、飲むとなると慎也の入れるコーヒーに慣れ親しんだ藤田にとって、缶コーヒーはマズく感じられた。

ふと、気づくと携帯が机の上で震えている。昨夜、静代と一緒だったのでマナーモードに切り替えていたのだ。

「はい、藤田ですが」

慌てて通話ボタンを押した。もちろんディスプレイなど確認せずに。

「……」

相手は喋らない。藤田は問いかける。

「もしもし、聞こえてます?」

途端に電話は切れた。藤田は始めてディスプレイを見た。それは亡くなった佐伯の携帯番号だった。

(…!)

慌ててリダイアルをする。
しばらくの沈黙。そして接続音が聞こえた。

「もしもし!アンタ誰なんだ!何のつもりか知らんが……」

だが、聞こえてきたのは通話不能のインフォメーションだった。

「クソッ!」

電話を切る藤田。と、再び携帯が震え出した。

「もしもし!いい加減にしろよ」

「どうしたんだ?えらい剣幕で……」

相川の声だった。

「いや……何でもないんだ」

「…そうか。昨日の件だが、8時頃どうだ?」

「分かった。何処で会う?」

「お前の自宅で良いんじゃないのか」

藤田はちょっと考えた。先刻の電話が気になった。

「いや、ここはマズイ…〈いつもの場所〉にしよう。今から予約を入れるから」

「分かった。じゃあ8時に……」

相川はそう言うと電話を切った。藤田はすぐにいつもの場所、大名の〈ペルージャ〉に予約を入れた。


平和への道のりの最初へ 平和への道のり 47 平和への道のり 49 平和への道のりの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前