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平和への道のり
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Ethno nationalism〜契り〜-11

「署長。本庁刑事局からお客様です」

秘書官が怯えたような口調で織原に伝えた。
昨日、連絡を貰っていたのだ。

中に通されたのは、ついこの間まで大学生だったような男だった。

「本庁刑事局課長の河村です」

そのメガネの奥の目はキャリア組という自信と冷たさを併せ持っていた。

「署長、人払いをお願いしたい」

河村の要望から、織原はミーティングルームで話を聞く事にした。

「ここなら良いでしょう」

にこやかに話す織原。対して河村は表情を変えずに、

「佐伯栄治の件はどのくらい進んでるんです?」

「佐伯…?」

織原は最初、何の話だか分からなかった。すると河村は、嘲笑を向けて、

「あなたの所轄で起こった事ですがね?」

「……!ああ、大濠での…あれはこれから特捜班を設ける予定にしてますが」

冷静に答える織原。だが、内心では河村に嫌悪感を抱き始めていた。

その気持ちに追い討ちを掛けるように河村が言った。

「その捜査、即刻止めて頂きたい」

「なんだって!」

織原の顔色が変わった。

「これは我々、刑事局の意向なのです」

そう言ってスーツの内ポケットから封筒を取り出し、織原に渡した。それは、刑事局長の署名と印が押された命令書だった。

織原は震える手でそれを読むと、

「理由は?理由を教えて下さい!」

だが、河村はまたも嘲笑を浮かべると、

「それはアンタ方出先機関の知る事じゃない」

そう言ってイスから立ち上がると、

「では、宜しくお願いしますよ」

河村は署長室を後にした。



織原は目を赤らめ、訴えるように村瀬に言った。

「…悔しかった。あんな若造に命令されて…だが、我々は組織の人間だ。本庁には逆らえない……」

村瀬は織原が急に小さくなったように見えた。

「…仕方ないですね……」

村瀬は急な脱力感に見舞われた。


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