**ヲタクアイドルVSメガネ王子**-3
「渡辺さんっ!!」
世界が歪んだ。
うぅ‥‥。
白い‥‥
白いのはベッドのシーツでも保健室の天井でも壁でもなく‥‥
視界いっぱいの瀬戸先輩の寝顔。
肌キレイだなぁ‥睫毛長いし、髪やわらかそう‥。
って、ぅをいっ!???
なななななっ!????
ちょっと!???
「んぅ?あっひより、おはよう。」
今日は呼び捨てですか‥。
って、そこじゃない!!!
「なっなっなっ‥何してるんですかっ!??」
驚きすぎて後ろに引き下がる。
あっ‥‥れ‥?
「危なっ!!」
今日はよくバランスを崩す日だ。身体的にも精神的にも‥‥。
「ひよりさぁ‥もうちょっと落ち着いて生活できないの?見てるこっちがひやひやしちゃうよ。」
気が付けば先輩の腕の中。ゴツゴツした鎖骨が額にあたる。それとは反対に胸の中はとても暖かかった。
って、この体勢はまずくないか?
「ひより?顔真っ赤だけど大丈夫?熱でもあ「ないですっ!!大丈夫ですっ!!」
おでこに触れようとする手をよけて、あわてて先輩の腕の中から離れる。
忘れていた。先輩がどんなにオタクでも、どんなに不思議発言を連発しても超美形の持ち主であることを。
「そっ‥それよりなんで先輩はここにいるんですか!??ってか、なんで私はここに‥?」
たしか今日は先輩に会わないように早く来て‥‥
「朝、下駄箱で倒れたんだよ。ちゃんと朝ご飯食べた?」
子犬のようなうるうるした目で眉間に皺を寄せながら上目遣いで首を傾げる先輩。