年の差-4-3
「陸は前川先生とどうゆう関係なの?」
1番聞きたくなかった名前が、聞こえてしまった。
俺が前川と出会ったのは、高校二年生の時だった。
当時、地元では有名だった公立の進学校に通っていた。その頃は、こんな都会には住んでいなくて、この隣の県に住んでいた。
部活は中学の時から続けていたバスケ部に所属していた。
男友達は多く、女の子とも隔たりなく話していた。
告白も、中学の時よりたくさん受けたが、それより男友達が多かったから、そっちと遊びたくて断った。
そんな毎日が楽しかった。
勉強はきつかったが、部活でストレス発散し、楽しく熟していった。
そんな一年も終わり、ついに後輩が出来る2年生の春がやってきた。
「ここ、バスケ部っすか?」
部活まで時間が余っていたため、体育館で自主練をしているところだった。
俺以外、人はいない。
声のする方を見てみると、ブレザーのネクタイを緩め、前髪は目にかかる程長くしているやんちゃっぽい男がいた。
「こらっ!その話し方止めなさいって言ったでしょ!」
男の隣には、うちの女子生徒の制服を着た小柄な女の子がいた。
二人の身長差は頭1コ分ほど違った。
だらしない男に対して、女はひざ丈のスカートに、指定の紺色のソックス。カッターシャツは1番上を除いて全部留めてあり、胸の上には一年であることを示す濃紺のリボン。キャラメル色のカーディガンを羽織っていた。目がくりっとしていて、顔も小さい。そんな可愛いい顔立ちとは違って、髪型はショートで顎のラインに髪が届くか届かないかぐらいだ。
第一印象は『だらし無い男に叱るお母さん代わりの女の子』と言った感じだった。
これが前川と彼女-中島悠との出会いだった。
前川と中島は家が隣同士で仲がいいらしい。
二人が住んでいた方面に家があるのは部員の中で俺だけだった。
だから、部活が終わった後は二人と一緒に帰った。
二人の色んな話を聞いた。
前川の女たらしっぷりや、中島の男に対しての武勇伝。
前川のお母さんは小学生ん時に亡くなって、それからは中島がずっと母親代わりだとか。
とにかく、この二人の会話を聞いていて飽きることはなかった。
漫才を見ている気分だった。
そんな後輩が好きだった。
いい加減な性格なのに部活と勉強は真面目にしていた前川。
そんな前川をサポートし、うちの部活のサポートもするマネージャーの中島。
二人はうちの部活には欠かせないムードメーカーだった。
学校には男子バスケ部しかなかったため、うちの部員は中島に惹かれていた。
そのうちの一人に俺が入っているのは言うまでもない。
そんなある冬のこと。
年末前にある期末テストの勉強を、前川の家で中島、俺と三人でやっていた時だ。
「あ〜歴史めんどくせぇ!何でこんなに覚えなきゃいけねーんだよ」
リビングで叫ぶ。
こんなことを言うのは、前川だ。
「こら、篤!そうゆうこと言わないの!」
中島が、前川を叱る。
中島って、ホントにいいやつだなぁ…
そういうところが、好きなんだけどなぁ。