最後の、キス。〜『wonderful world』Sena ver.〜-2
『女のくせに』
成績が貼り出されるたび。学校行事があるたび。
誰とも言えない誰かに言われてきたセリフ。
私、頑張っちゃいけないの?夢を持っちゃいけない?
言い返すことはできなくて意地になっていた私に、休む場所をくれたあなた。
「頑張れ」
そう言ってくれるのが何より嬉しかったんだ──。
「ごめん…ごめんね!ごめんね…!!」
涙が、止まらない…。
本当は全部わかってたの。私のせいなんだって。
私が東京に行くことがあなたを苦しめて、悩ませたって。
夢をあきらめられないことを攻めないで、応援しているからこその、別れ──なんだって。
全部あなたのせいにして、何も言わない優しさに逃げるところだった。
「私、頑張るから…絶対にあきらめたりしないから…だから、だから…!」
続く言葉は、冷たい感触で遮られた。
『忘れないで』
最後の、キス。
最低でも卑怯でも、あなたがほしかった。
ありがとうと言えない私を、どうか許して。
やがて季節が変わっても。どんなに年をとっても。
『忘れないから』
私は一人、永遠を誓うの。
(終)
※この作品は、デルタ著『wonderfulworld』の番外編です。
執筆にあたり、快諾して下さったデルタ氏に感謝いたします。