社外情事?3〜堂々巡りと結論情事?〜-18
「…誠司君、お腹空いてない?」
「へ?…あぁ…一応、それなりには」
「そう…」
玲は心なしか嬉しそうな笑みを浮かべる。
すると誠司は、何か嫌な予感でもしたのか、玲に合わせて遅くしていた歩調を、更に緩める。
「…な、なんですか?」
「身構えないでちょうだい、別に取って食うわけじゃないんだから」
「あ、す、すいません」
しかし玲が少し不機嫌そうな声を出すと、慌てて歩調を合わせる。
誠司がちゃんと歩調を合わせたのを玲は確認した。それからすぐに機嫌を直し、口を開く。
「…どうせだから、私の家に行きましょう?そこでならご飯済ませた後に、すぐ続きができるし」
「……本気で言ってますか?」
数拍の後、誠司は玲に提案の確認をとった。すると玲は、「どうして?」と首を傾げる。
まるで、「冗談で言うと思うの?」と言外に示しているかのように。
「え?いや、だって…」
即座に切り返されたせいか、誠司はしばし狼狽える。それから、なんとか平静を取り戻し、躊躇いがちに呟く。
「…なんか、いきなり過ぎて…」
「いいじゃない。いきなりでも」
一蹴。
「それに…」
と、そこで一旦言葉を切る。そして、誠司の腕に抱きついた。
「れ、玲さんっ?」
その不意打ちに、誠司は素っ頓狂な声を上げてしまう。と同時に、ここが衆人環視の中である事を思い出し、誰かに見られてはいないかと辺りを見回す。
しかし、玲は他人の目などどこ吹く風。そんなものに構うことなく、しっかりと腕にしがみつく。
「…やっと見つけた『理想の男性』…しかも、もう肌まで重ね合っているのよ?今更、いきなりも何もないじゃない」
心底幸福そうな顔で断言されてしまった。
「…断言しないでください…断る理由、なくなっちゃうじゃないですか…」
誠司は、苦笑いを浮かべるしかない。
一方、彼のため息を聞いた玲は、一瞬だけ不満そうな目を彼にやったものの、すぐに満面の笑みを浮かべる。
「ふふ……最初から、断る必要なんてないのよ。…だって…」
その笑みが、ふ、と近付く。
それに気付いた誠司が、無防備にそちらを向いた瞬間――
キス。
自身の唇を誠司のそれと重ね合わせた後、玲は再び燻り始めた情欲を目に宿し、甘ったるい言葉で囁いた。
「…私はもう、誠司君に夢中だもの」
――続く