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特進クラスの期末考査 『淫らな実験をレポートせよ』
【学園物 官能小説】

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特進クラスの期末考査 『淫らな実験をレポートせよ』act.6-12

柏沼の家は男の一人暮らしにしてはまあまあ片付いている部類で、生ゴミとか使った食器とかが散乱してはいなかった。コップが見当たらなかったので手の平に掬って水道水を飲む。それだけの行動なのに身体の節々が引き攣るようだ。
ごくりごくり、と飲むたびに身体が潤っていく。ふう、と一息つくと今吸収したばかりの水分が、つぅっと頬を流れた。

「先生…」

何も言ってくれなかった。期待はしてなかったけど、こんなふうに置き去りにされるなんて酷い。
今日は平日で学校だって知ってるけど、生徒が気楽にサボるのと教師とでは全く違うってわかってるけど。
わかっているけど

帰りたい
帰さないで
忘れて
覚えていて
自由にして
束縛して

こんなにも矛盾してる気持ちって涙を流したってどうにもならないのね。
独りよがりで、あなたに一喜一憂して、苦しい、苦しいよ。

好きって

「………先、生……」





「で、結局何日監禁したんだ?」
「人聞きの悪い。そもそも監禁なんてしてない」
薄暗いバーでスツールに腰を掛けた柏沼が煙たそうに視線を逸らした。相手は腐れ縁の悪友、嘘やごまかしの通じない手強い奴、大河内 薫(オオコウチ カオル)だ。
眼光鋭く威圧的、絶対的な自信に溢れ、誰にも屈しない。厄介な奴に弱みを握られたもんだ、と柏沼はため息を吐いた。
……と言うか事の発端はあいつの筈なのに、いつの間に形勢逆転されてんだか、俺は。

時は遡り、5月。日々教職に精を出してた頃の話だ。今は七月。二ヶ月前。柏沼はこの年の四月に赴任して来たばかりで、待ち構えていた悪友の存在にやる気を削がれていた。
そんなある日の話だ。


「面白い実験を思い付いたんだ」

いつもの様に物理室で職務に励んでいた柏沼は、招かざる来訪者に始めは適当に相槌を打っていた。
「ガキどもの性行為の認識、知識、感情、欲望、そういうものを自分で考え、学んで理解する。失敗や羞恥を得て人間性を成長させる。それが狙いの実験だ」
尤もらしく自身たっぷりに言うが、流されちゃいけない。こいつは見失った自分を探したいだけだ。結局こいつ自身の疑問が知りたいだけだ。
「よくもまあ下らない事に知力を使ったもんだ。薫、そういうのは自分の中だけの話にしてくれ。俺を巻き込むな」
ぐり、っと煙草を揉み消して俺は睨んだ。だが、薫はなに一つ間違ってはいないと笑っている。
「ガキどもだって馬鹿にするだろうな。教師に権力なんてもんは今の時代何もないんだよ」
「竜也、解ってないな。俺がリスクだけに手を出すか?ちゃんと対策も練ってある。まあ子ども騙し程度だが、ガキには充分だ」
「俺は手伝わないぜ」
「不可能だな」
さも自信たっぷりに言う。俺の事なんかお見通しだと言わんばかりに。
「期末に仕掛ける。大丈夫だ、悪いようにはしない。手伝えばお前に一人くれてやってもいい」
ぽんっと肩を叩き物理室を後にする大河内。悪びれた様子もなく、いつも通りの振る舞いで去っていく。
いつもこうだ。自分の思い通りに事が進むのが当たり前、そんな態度に腹が立って俺は声を荒げた。


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