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アイしてる★☆
【悲恋 恋愛小説】

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アイしてる★☆-1

第一話
「ねぇ」
・・それはあまりに異様な光景だった。どこからどう見てもいちゃいちゃしているとしか思えないコイビトの前に、平然と、当たり前であるかのように、少女が声をかけて仁王立ちしている。
「なにィ〜?もう時間?ま★いっか!また今度ネ、マ・モ・ルっ」
そう言って、『彼女』は『彼氏』の胸ポケットに手を入れ、その場から離れていった。
「あいよー。ご利用ありがとうございましたーっ」
『彼氏』は胸ポケットからあるモノを取り出す。
「1・・2・・3万、っと!儲かったぜ〜♪」
くしゃくしゃになった金髪をかきあげ、口許をにやりとさせる。
「ちょっと」
「なんだよ。あんたのせいで帰っちゃったじゃん。一番儲かるのにさ、『彼女』」
『彼氏』は軽い溜め息をつくと、仁王立ちした不振人物に初めて目をやった。
腰まである、長い艶やかな黒髪。今時の高校生にしては珍しい黒髪だ。真っ白な肌によく似合う。そして小さな顔にのっている、大きな瞳とすっと伸びた肌。何より、真っ赤に潤った・・唇。美少女という言葉がよく似合う少女だった。少々童顔で、背が低めだが。しかし、何より『彼氏』を驚かせたのは、別のことだった。
「理事長のお孫さんが、こ〜んな俺になんの用ですか〜?」
そう。少女は正真正銘、この桜華学園の理事長の孫だったのだ!しかし『彼氏』はそれに恐縮することなく、おどけた調子でいた。
「いつもは、いくら貰ってたの?」
しかし少女はそのことについて一切無視した。
「10万は貰ってたよ」不意に少女の耳元に唇を持っていき、囁く。「えっちOKでね」
普通の女なら、いくらイマドキの女子高生でも腰砕けになってしまいそうな甘い言葉、甘い声。しかし少女はぴくりとも表情を変えなかった。すると、肩にかけていたスクールバックを『彼氏』の足元に無造作に投げた。チャックは開いていて、中から信じられない程大量の紙切れが溢れ出す。札束だ。
『彼氏』はそんな有りェなィ状況にも関わらず、普段通りの態度で言った。
「ご依頼、承りました♪」


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