彼女はヴィヴィッドカラーに憧れて-1
私は、惚れやすい女の子だと思う。現にさっきまで、新しい恋に一生懸命だった。
そう、さっきまでは。
私は物心が付いた頃から、一人で過ごした記憶があまりない。
常に私は誰かの側にいた。それは友達だったり、親だったり、彼氏だったり。
中学に上がった位から、その誰かに依存するベクトルは男友達に向いていった。
別に男好きって訳じゃない。ただ、誰かが側にいてくれないと、息が止まる様な感覚に襲われるのだ。
夕闇に染まり始めた道を歩く。
いや違う。息が止まるんじゃなくて、そう。世界から色が無くなる感じになるのだ。
一人でいると、周りの景色がまるでメガネを急に取られたような、ぼやけた色合いになる。
それは時間が経っても治らないのを、私は決して長いとは言えない人生の中で学んだ。
私は「誰か」と言うメガネが無いと、世界が見られないのだ。
友達は私の性格を知っているので、今日はそっと側にいてくれた。
彼女達にはいつも感謝している。そのおかげで私はどうにか世界を見ることが出来るのだ。
だけど、はっきりではない。やはり少し霞んでしまう。
彼女達の距離は、私と近すぎる。
目の前には、小さな公園がある。私はまだ遊んでいる子供達の邪魔をしないように遠回りをして、ブランコに腰を下ろした。
頭が重い。目が腫れぼったい。声も酷い。
原因は簡単。振られたのだ。
数日前に違う女と歩いていたのを発見したのが不幸の始まり。
当然のごとく追及をする私に対して電話越しの彼氏の言葉はたったの一言。
「ごめん」
活火山の様に噴火した私は、その後何を言ったか全く覚えていない。
しかし次の日には、まるで開かない目と海よりも深い後悔と悲しみが広がっていた。