難読語三兄妹恋愛暴露~長女Ver.~-5
キーンコーンカーンコーン…
と、昼休みが終わるチャイムが響きました。
エリは「うーん!」と伸びをしながら立ち上がりました。
「久しぶりに授業出よっかな」
「あー、あたしもー」
ミワも続いて立ち上がりました。それに習うようにポチと長閑も立ち上がります。
「アタシも。ポチ玄関まで送ってから教室行くよ。先行ってて」
「いいよ、長閑ちゃん。僕一人で平気だから」
「いーの、いーの!ホラ行くよ」
長閑はポチの腕を掴むとずんずん歩きだしました。掴まれたポチはというと、ふぅっと短く息は吐いたものの、何だか嬉しそうに口元が上がっていました。
「長閑ちゃんが今日行くドラッグストアって、駅前の?」
「そうそうそう!あの、ちょっとこじんまりした」
ポチはちゃんと声を落としていたのに、オバカな長閑は全くそんなことはしません。なので、長閑の声は静かな廊下に響きました。
「ふーん…。ねぇ、やっぱり僕も行かないで欲しい…」
「は?何でー!?」
ポチが長閑のすることに反対するなんて珍しいことです。
主人に忠実=忠犬ハチ公=犬=ポチ
ポチを一番最初に『ポチ』と呼んだのは長閑でした。自分の言うことを楽しそうに聞いてくれるから。
そんなポチが反抗したのですから、長閑はものすごい驚いたようです。
「何でって…。とにかく行かないで欲しい!」
「な、何?真剣な顔しちゃって。ポチのくせに…。っていうか、痛い」
ポチは無意識の内に長閑の二の腕を掴んでいました。長閑に言われて初めて気付いたのか、ハッとしたように手を離すと
「ご、ごめんね!」
と言って頭を下げました。
「とにかく、アタシは行くから!ポチが何と言おうとアタシの友達の落とし前はアタシが付ける」
長閑はガッツポーズをして見せましたが、やはりポチは浮かない顔です。
「…ねぇ、やっぱり、やめよう?お願いだか…」
「あーもーうっさいッッ!」
イライラしたように長閑は自分の頭をグシャグシャと掻き毟りました。
「ポチはアタシの何でもないでしょ!ウザイッ!」
一瞬、ポチの動きが止まりました。
「そう…。じゃあ勝手にすればいいじゃん…」
ポチは悲しそうに呟きました。今まで聞いたことも無いような暗い声に長閑はハッとしました。
「所詮、僕と長閑ちゃんは他人だものね…」
他人?…あ、ポチ!
長閑がそう思った時にはもう遅過ぎました。ポチはスタスタと歩いていってしまって、それを呼び止める勇気が長閑にはありませんでした。