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難読語三兄妹恋愛暴露
【コメディ 恋愛小説】

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難読語三兄妹恋愛暴露~長女Ver.~-6

放課後―。

「っしゃ!」

長閑は例のドラッグストアの前で気合いを入れていました。前と言っても道路を挟んでいますが。
あまり通行の激しくない道路なのに、長閑は律儀に信号待ちをしています。
とうとう信号が青になりました。長閑はゆっくり足を踏み出しました。
その時の長閑の脳内では、ロッキーのテーマが勇ましく流れています。
そして一番盛り上がる「ジャジャージャーン!」の部分に差し掛かった時、BGMが突如止まりました。誰かが長閑の肩をガッシリと掴んだのです。
BGMを止められた長閑は大層ご立腹のようで、眉間に皺がより始めています。

「何だよっ!……あ」

勢い良く振り返った長閑は置物のように動かなくなりました。
なぜならドックンと大きく心臓が跳ねたからです。

「やっぱダメ。行っちゃダメ!」

そこには、真剣な顔をしたポチが立っていました。肩の代わりに今度は、長閑の手首をギュッと握ります。

「か、勝手にしろっつったのポチじゃん!」

手首を掴まれているだけなのに、なぜか心臓は早くなっていきます。それが苦しくて、息が出来ないほどに胸がいっぱいで、長閑は手を振りはらおうとしました。だけど、そうすればするほど、ポチの力は強まっていきます。

「離してよ、バカ!」

ポチもやっぱり男なのです。長閑の力だって普通の女子よりは何倍も強いものの、ポチの手をはらうことは出来ませんでした。

「は〜な〜し〜て〜!」

「い〜や〜だ〜っ!」

だからでしょうね。
なんと長閑は振りほどくのではなく、ポチごとズルズルと引っ張っていきました。
なんて筋力なんでしょう。そしてなんてお間抜けな光景なんでしょう。

「こうなったらポチも道連れだからね!」

「まだそっちのがいいよ!長閑ちゃんは僕が守る!」

「へ?」

長閑はピタッと立ち止まりました。『守る』という言葉が引っ掛かったのです。
そして、いきなり長閑が止まったことで、ポチは力の行き場を失いバランスを崩してしまいました。


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