「別れ話をしよう」-4
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[act.1]
いつものバーのカウンターに腰を下ろす。
「オレンジジュースを」
お酒が飲めないわけではない。
けれど、今日は何だか飲まない方がいいような、そんな気がした。
程なくして貴方が隣に腰を下ろした。
バーボンのロック。
言いにくいことがあるのだろう。
キャンドルの淡い光に照らされて、どこか遠くを見つめる瞳。
その視線の先にいるのはもう私じゃないのだろう。
ここの所、会っても何処か上の空だったもんね。
私の他にも何人も遊び相手がいるのは知っていたけど、ようやく一人に決めたのね。
それが、私じゃないのがスゴく悲しい。
遊びから始まった私たちだけど、躯を重ねたその温もりは、唇を合わせたその優しさは本物だったと思
うから。
貴方のその瞳は、どこか遠くを見つめている。
もう、私を見ることはないのだろう。
その遠い遠い視線の先に待つのは誰?
遠く離れた貴方との距離。