「別れ話をしよう」-2
[act.2]
もう、2年も経つのだろうか。
出会ってからの君との日々が、煙草の灰となって消えてゆく。
君と話すことは過去の話ばかりになってしまったね。
これが「別れ」なのだろう。
3本目の煙草に火をつける。吸い終えたら席を立とうか。
煙のよりも儚い君との星霜。
いつの間にか空になったグラス。
たった1杯で語り尽くされた想い出。
もう、店を出た方がいいのだろう。
けれども、もう少しだけ一緒にいたい。
少し迷ったが目配せをしていたバーテンダーに「同じのを」と答えた。
この氷が溶けるまでは恋人でいようよ。
もうひととき。
笑っておくれ。
愛しい人よ。
店を出たらもう、遠い人になるけれど。
笑って欲しい。
今でも愛しい人よ。
その君の微笑みを消したのは僕。
いつかまた誰かと恋に落ちるんだろう。
今度こそ君には幸せになって欲しい。
君は誰よりも幸せになるだろう。
そう思うのは嘘じゃない。
でも、君を幸せにしてやれるのは僕じゃないんだね。
それが、少し淋しい。