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命日が誕生日
【コメディ 恋愛小説】

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命日が誕生日8-1

   【第8話】
   弱さの克服


 私は、いつもより少し静かな帰り道を、1人…トボトボと歩きながら考えていた…

(はぁ…1人で帰るって…寂しいなぁ…)

ここ1ヶ月…帰宅する時には、いつでも零が隣にいた……

(ぁぁ……1人で帰るって…こんなに寂しかったっけ…前はそれが当たり前だったのになぁー…)


私は…1人になった事を実感した途端、急に酷く不安に襲われた…

(そぅぃえば……さっきの零……ちょっとおかしかった……ょね?)

もっとも…何が?と聞かれると、天迦にも答えられないのだが…


(ま!!……まさか!!?
さっきの下駄箱……!?
げ…下駄箱で起こるイベントといえば…最早、1つしかない……
ラブレター!?…そぅだ!!だって零は当然?凄く人気があるし……
今までは零の数々の言動で、私と付き合ってると思い…それ程露骨な行動は無かった…
しかし相手は私…
十分に奪う事が可能と判断する人達なんて大勢いるだろう…
零を信用してるけど…
でも恋人といっても、零は別に私を好きとかそぅいう事では無い……
正確には【ただの】契約者…だもんね…)

考えれば考えるほど堪らない不安に襲われる

『……ゴメン!!』

私は、そこにいもしない彼に頭を下げると…
今来た道を、全力で駆け戻った……



………………



私は今、体育館の前に来ている……
大した距離では無いのに、夢中で走ったせいか肩で息をしている…
夏の訪れを待つ…6月のジメジメとした空気が、汗を誘発しYシャツを濡らし少し気持ち悪い…

『……いない……』

何処に行ってしまったのだろう…確にこっちに歩いて行ったはず……
呼吸が段々と落ち着いてくると、頭も少しだけ冷静さを取り戻してくる
すると途端に臆病な自分が邪魔をしてくる

(どぅしょぅ……告白だったら……どぅしょぅ)


そぅ…私がこんな所に来ても、何の意味もない
零の結論を変えられるわけでもない……
そしてなにより、零を自分に繋ぎ止めておくだけの、魅力も価値も自分にはありはしない…

その娘だってきっと迷惑に感じる筈だ…
勇気を振り絞って告白しているのに…
関係無い私なんかが、勘違いして彼女気取りで出て行ったら…


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