命日が誕生日5-1
【第5話】
戦況は変化する
か……格好良い………
その光景を眺めながら…私は、そんな間が抜けた事を考えていた…。
教室内に静寂が広がる
彼の、誰を哀れむでも無い…誰を威嚇するでも無い…そのあまりに【普通】過ぎる空気に…
教室全体が…
その場の人全てが…
まるで彼に完全に呑まれているようだった…
そして、彼は何事も無かったかのよぅに私の元に来ると…不意に私の頭を引き寄せ…
「ただいま…」
と柔らかに微笑んだ…
…っと次の瞬間…
教室内は、先程とうって変わって、大きな歓声に包まれた……
私はというと、まだ現状が理解出来ず…出来の悪い彫刻のよぅに固まったまま、ただ…彼のされるがまま、彼の胸に顔をうずめていた……。
未だ歓声が鳴り止まぬ中、担任の先生が教室に入って来た…。
どうやら零は、何をどうやったのか(何と無く怖くて聞けなかった…汗)
私と同じ高校…同じ学年…同じクラスに転校生として、潜り込む?事にしたらしい……
そして教壇の前、皆に改めて先生に紹介をされた時…彼はまたも
「2度目だが…騎咲 零(きざき れい)
御神 天迦の男だ…以後よろしく…」
と同じ台詞を繰り返した…そして1度目と違い、すぐに教室は2度目の歓声に包まれた……。
「うーん…じゃぁ丁度、空いてる事だし御神のとなりの席で良いな?」
…と先生に促され、周りの歓声をまったく意識する事も無く、私の隣へと腰を下ろした…。
「ふぅ〜…しかし天迦…学校とは実に賑やかなものだな?」
『そ……そぅかな?』
(それは零のセイだよぉ〜……っていぅか……そんな事より早く、お礼言わないと!!………駄目だ……何かマトモに零の顔が見れないよぉ……)
「まぁ…今後は学校でもよろしく頼む…」
『うん……わかった』
(ぅわ!!……私…愛想無さすぎだよ!!……ちゃんと言わなきゃ……助けてくれてありがとうって……学校まで来てくれて嬉しかったって……)
私が、あれよあれよとテンパっているうちに、HRが終り担任の先生が教室を出て行く…
その途端、何人かの女生徒が、零の周りに群がってきた……。