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小悪魔と盲目なるワンコちゃん
【大人 恋愛小説】

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小悪魔と盲目なるワンコちゃん-10

『紫煌さん、ヘアモデルしませんか?俺の友達が美容師で、モデル探してるんですよ』

はん、さては画像を見せびらかして「俺の彼女」とか、いらんこと吹聴したんじゃろ〜。
彼ならやりかねん!
「写メらせるんじゃなかった」と後悔しつつも、つれない返事すると!
彼、大大大暴暴暴走走走っ!!
図星ゆえの、逆ギレか?
携帯への着信数がすごいわ、日々のメールが重く細かくなるわ、それを放置すれば『即メールしろ!』『バカ!』だわ、以下割愛。

『俺のこと馬鹿にしてません?』

お〜お〜嬉しいこと言ってくれるね〜。自分のことを棚に上げてさ、ふん。
挙句の果てに『友達ってのはセフレ込みじゃ!』。
本性爆発。
はい、おめでとう。



夢を見た。
夜、すっかり海水が引いてぬかるんだ海の真ん中を、あたしは向こう岸に見える高級ホテルを目指して歩いていた。
頭上では、三日月が優しく照らしている。

―――別れの暗示だ。
彼と実際に会ってから見続けるようになった『夜』『ぬかるみ』の夢。
それは不安定な自分、ストレス、対人関係への警告、思い通りにならない現実を意味していたけど……。
それも明後日で終わりだ。


彼と会うことにした。
メールでも良かったけど、ケジメを付けるために。
まぁ、某ライブで遠出するついでに。
過日のデート費用にかかったと思われる5000円を封筒にしたためて、駅改札口近くにて待ち合わせ。
案の定、彼は5分遅刻。
その上、ライブのためにシプジー風にお洒落してきたあたしを見るなり、ポケットから携帯を取り出して。
ちっ、日を間違えたか。
ここまで最悪最低迷惑至上とはな。
あれほど会いたいとか騒ぎまくったくせに、時間前に来る誠意が彼にはないんだね。
本当、愛想が尽きた。
「こんにちは」
「紫煌さん、可愛い〜」写メまくる彼。
ブッキレたくなるのをこらえ、絶対零度な諦念で別れを告げる。
5000円も返して。
固まる彼。
「もうこれからはメールしないでね」
「えっ!?嫌だ!」
「なんでよ?」
「だって…」
続く言葉を奪うように言う。
「友達!恋愛もSEXもいらないの!だから終わり!わかった?」
これだけは譲れない線引き。


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