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中嶋幸司奮闘記
【コメディ 恋愛小説】

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中嶋幸司奮闘記-8

俯きがちに頬を染め、俺を見つめてる愛那は確かに女の子だが、見た目がどうしても幼い為、この子を受け入れて彼女にでもしようものなら俺は周りのみんなからロリの烙印を押されてしまうのでは!?
いや……クラスの連中の性格、特に朱鷺塚や柊あたりなら絶対言う。
俺だってクラスの奴がこんな童顔の彼女を作ったなら同じ事をするだろう。
愛那に見つめられたまま、いろんな事を考えていると背中に重石を乗せられた気分になってきたので、この雰囲気を何とかしようと試みた。
「なあ、愛那。さっき、お前が鉢合わせた奴の姿って覚えてるか?」
俺の言葉に愛那は小さく頷くと、そいつの特徴を教えてくれたのだった。
「なるほどね……こうなったら是が非でもとっ捕まえててやらないとなぁ」
俺が気合を入れ、やる気を出していると何を勘違いしたのか愛那は瞳をキラキラさせながら俺に抱きついてきた。
「中嶋先輩、愛那の為にあの変態さんを捕まえてくれるんですね! でも、無茶はしないで下さいね」
本当は美弥ちゃんの為に捕まえるつもりだったんだけど、愛那もこうして被害を受けたんだからきっちりけじめはつけないといけないな。

この後、俺達はそれぞれの授業に戻ったけど、すでに授業は始まっていて俺は体育教師にグラウンド十周のプレゼントを貰うことになった……。

それからの俺は、授業の間の休み時間や自習の時間等を使って、女子更衣室やその周辺を見回る様にしていた。
ここで意外な事だが、更衣室の近くをうろついてる俺を他の女子達はあまり気にしていないようだったのだ。
「これは俺の人徳かぁ」と、思いたかったけど、恐らく柊や朱鷺塚、美弥ちゃん達がフォローしてくれているんだろう。

そんなこんなで数日が過ぎ……。
今は金曜の午後、そして体育の時間だ。
今日はラッキーな事に体育教師が休みの為、男子はグラウンドで自習と言う名の自由を謳歌していた。
しかし、俺は件の変質者が気になり、以前に愛那が変質者と鉢合わせた更衣室の入り口を陰から見張っていた。
ここ暫く奴の目撃情報もなく静かなものだったが、俺は何故か今日が山場だと踏んでいた。
「まあ、石の上にも三年って言うけど……」
そろそろ決着を付けたいもんだな。
一人でぼやきながら女子更衣室を見張ってる俺は欠伸をしようとした瞬間、異変が起こった。
更衣室のドアが開くとどう見ても学園の関係者には見えない男が辺りを警戒しながら出てきたのだ。
『来たーーーっ!!』
俺は心の中で叫びながらその男の背後に静かに駆け寄ると、そいつの背中を思いっきり蹴飛ばした。
「おいお前、今どこから出てきたんだよ」
俺は声にドスを利かせ廊下に転がっているそいつを睨みつける。
廊下に転がっている男はどう見ても普通じゃなかった。
体格は普通なんだけど、服装がちょいと特殊と言うか……。
まあ、ある意味個性的ではあるのだろうが、俺から見ればそのマニアックというか前時代なオタクファッションはとても好意的な服装に見えなかった。
それに、奴の異様な目付きが嫌悪感を与えているせいか、俺に苛立ちを感じさせていた。「な、何するんだよお前っ! 僕をいきなり蹴るなんて無礼だぞっ」
「何、逆ギレしてんだよ。お前こそ女子更衣室から出てきて何してたんだよ!」
俺の言葉に動揺しだした不審な男だったが、急に俺を睨みつけると訳の分からない事を喚きだした。
「ぼ、僕は美弥ちゃんの婚約者なんだぞっ! 僕が美弥ちゃんの物を持って何が悪い!」
そうか、こいつだったんだ!
ここんとこ美弥ちゃんの物が無くなったりしてたのはこいつのせいだったんだ……。
最近起きていた不審な出来事や美弥ちゃんを不安にさせていた元凶が目の前にいるのを認識した俺は頭で考えるより先に奴の胸倉を掴み立ち上がらせるとその腹に膝蹴りを叩き込んでいた。
それと同時に男は苦痛を訴える様な呻き声を上げるとその場に蹲り、自分の腹の辺りをごそごそと手で擦っている様だった。


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