投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

ewig〜願い〜
【悲恋 恋愛小説】

ewig〜願い〜の最初へ ewig〜願い〜 2 ewig〜願い〜 4 ewig〜願い〜の最後へ

ewig〜願い〜-3

「・・・・さま・・・・・まささま・・・・・」
どこからか聞こえる声で、ふと我に返る。
「嵩雅さま?・・・嵩雅さま!!!」
いきなり戸が開き、血相を変えた絢芽が立っていた。
俺はいきなり大声で呼ばれたのと、いきなり戸が開いたのにびっくりしていた。
「は・・・・はい?」
声が上ずりながらも答えた。
我ながら、無様な姿だ・・・。
「あ・・・あの・・・えぇっと・・・・何度読んでも返事がなかったものですから・・・・その・・・。」
「俺が死んでると思った?」
「えぇ!?そんな滅相な・・・。いや、思わなかったといえば嘘になりますが・・・。いや、思ってなぁ〜いです!!えぇ!!」
息も荒くして、絢芽があわてながらも答えているのを見て、俺はおかしくなった。
「ハハハ・・・それは、思っていたと言っているようなもんじゃないか・・・」
初めて、笑ったのではないかと思った。
初めて心から笑えた。そう感じた。
「初めて笑った顔、見ました・・・。」
ふいに絢芽がそう言った。それはそうだ。俺だってそう感じたのだから。
「心から笑ったの初めてかもな。絢芽、内緒な。」
笑った顔を見られるなんて、恥ずかしかった。
だけど、絢芽ならいいかと思った。
「はい、心に秘めておきます。」
人差し指を唇に当て、微笑みながら絢芽は言った。
その姿がすごく愛らしくて、俺は絢芽に恋しているのだと、改めて思った。
すごく愛らしく感じていたので、自然に微笑みながら絢芽を見ていたことに俺は気づかなかった。
 
 
 
 
「なぁなぁ、嵩雅ぁ〜〜〜〜〜〜」
今日も俺の公務の邪魔をする者が一名・・・・。
いい加減、お前自分の仕事をしろよ。と心でツッコミつつ、
「なんだ?初瀬道。今日は雨だし、蹴鞠もない。歌詠みもない。お前に流れた女中も解雇した。俺の家に来る用事なんてないだろう。」
「そう言うなって!女中が増えて俺だって困ってんだぜ?女中に支払う給料どうするかとかさぁ・・・。それに、ほら!おれらし・ん・ゆ・うだろ?」
こうゆう時に限って親友面するんだ。本当に親友なら、親友の女中に手を出さないんじゃないか?と思ったが・・・。
所詮、世間はそんなもんなのかもしれない。
利用できるものは利用する。
それがモノであれ、友人であれ、親であれ、だ。
そんなのわかりきったことなのに、俺は絢芽のおかげで少し変わってしまったのかもしれない。
「さいきんさぁ、お前の女中たち生き生きしてきてるよなぁ・・・。」
は?なんだって?俺の女中が?
「何かさぁ、楽しそうなんだよなぁ・・・。前はウツっぽくて俺が入る隙間いくらでもあったのに今はまったくねぇもん。ついに手出したの?」
「・・・・・・・・。」
「え????図星????」
こ・・・こいつは・・・・。
「呆れて言葉も出なかったんだ!!!なんでそっちに話をもっていくかなぁ・・・」
けど、確かに俺の周りの女中たちは変わったと思う。
最近生き生きしてきているし、なにやら楽しげに身の回りの世話をしてくれている。
おかげで、絢芽が俺の世話に来る回数は少なくなってしまった。
前は誰も俺のそばに近づきたがらなかったため、絢芽にその仕事が回ってきていたのだ。
だから絢芽はいつも俺のそばにいた。
気づいたらいつも隣にいてくれていた。
だけど、今は違う。
いつも違う誰かが俺の世話をする。
俺は、絢芽に・・・・・・


ewig〜願い〜の最初へ ewig〜願い〜 2 ewig〜願い〜 4 ewig〜願い〜の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前