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結界対者
【アクション その他小説】

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結界対者・終章-15

「とりあえず、奥へ行きましょう。そして、エレベーターで、さっきの男がいたオフィスへ……」
「……待って! イクト君、あれ!」

 不意にサオリさんが声をあげ指差した、それまで何もなかった筈のその場所には、いつのまにか大型テレビの様なスクリーンが置かれていて、そいつが不気味に光を放っている。
 全く、さっきの入り口の扉といい、このスクリーンといい、気味の悪い連中だ。
 やがて、スクリーンの中の光は一瞬だけ暗くなり、その直後に再び輝き始め、何かの映像を映し始めた。

『いらっしゃいませ、ようこそ楽箱へ』

「サオリさん、こいつ! さっきの……」
「ええ、ギス・ブルゲ!」

 スクリーンの中から先程の男、ギス・ブルゲが不敵な笑みをうかべながら此方を見据えている。

『随分と、早かったですね…… フフ、結構な事です。では、早速ですが、間宮セリの力を解放する方法を教えて頂きましょうか』

「その前に、妹は無事なんでしょうね?」

『ええ、御覧の通りですよ』

 サオリさんの問掛けに、画面の中の様子が右横に移る。すると、大きなシングルのソファーの様な椅子に座らされた、制服姿の少女が画面の彼方に見えた。

「間宮っ!」

 間宮だ、間違いない! しかし

「動いていない…… まさか、テメェ!」

『ハハッ、ご心配なく。些か興奮状態でいらした様なので、暫く眠って頂く事にしました』

 眠っている、だと?

『さあ、早く、力を解放する方法を教えて頂きましょう。セリ様も一刻も早いお迎えを望んでおられる事と……』

 その時、スクリーンの中のギス・ブルゲの声を遮る様に、サオリさんの囁く声が、耳元で微かに響いた。

「ねえ、イクト君……」
「えっ?」

 思わず、振り向こうとする俺に

「こっちを見ないで! 画面を見たままで、聞こえているなら、頷いてくれるだけでいい」

 サオリさん、何を……

「このテレビみたいのが此方の様子を向こうに伝えているみたいね。あの上側の縁に付いてるレンズが、おそらくカメラだわ」

 確かに、カメラらしきものが付いている。丸い、小さな穴の奥に光るレンズは、間違いなくそれだ。

「しかも、セリは眠っているみたい。無難に連れ戻すなら今ね」

 なるほど、眠っているうちに連れ戻せば、力の覚醒云々を気にせずに済む。


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