電車に淫れて Side Girl-3
けれど、すぐに後ろからまた腕が伸びてきて、抱きしめられた。
左腕で腰を抱き、右手が前からまた、ブレザーの中へと滑り込んでくる。
息を飲み込み叫ぼうとして、一瞬ためらった。
「叫ばない方がいいよ」
耳元で囁やかれる。
こんな状況なのに、まるで恋人に囁くように甘く。
「今見つかって困るのは君だよ?だって一度は触れることを許したんだから。警察は取り合ってくれないだろうね」
けれど、甘く響く言葉の中身は紛れもないおどし。
「そん…な…」
確かに、うなずいた。
でもあれは、そういうつもりじゃなかったのに…。
「大丈夫。最高の快楽を味わわせてあげるから」
千夜の抵抗を奪うように、息を吹き掛けるようにしてささやかれた。
男の手が千夜の左胸をシャツの上から包み込む。
やわやわと動かされる度に背筋がぞくぞくと震える。
なに…これ…
抗いがたいものが、少しずつ身体を支配していく。
こんなの知らない…
嫌なのに…っ、…
彼氏に触られた時にも友達がふざけてタッチしてきた時にも、こんな風に感じなかった。
服の上からでさえ、分かる。
彼氏の稚拙な愛撫との違い。
逃れがたい、モノ。
間違いがあったとすれば、それは千夜の甘さだった。
抱き締められたあの時、ためらわずに声を上げていれば良かったのだ。
叫べば男が捕まるのではないか。
あの一瞬、相手を思いそう迷った甘さが、まだ未熟な身体を落としていく。
男の望む方向へと。
だから…っ揉まないでぇ…
嫌なのに、身体はもっと触って欲しがっている。
懸命に息を殺して、千夜は早く駅に着くことを願った。