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女王候。
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女王候。-4

あたしが助手席に座るなり彼は聞いた。
「家どこらへん?」
「あ、えっと…」
「…青木さん家には帰らない派?」
どーいう派だよ。
「最近はちゃんと帰ってますよ」
「そうなの?この頃彼氏さん来てないからどーしてんのかと思った」
「別れました。今はいません。だからちゃんと家帰ってます」
「ふーん…」
あたしは彼の微笑みを見逃さなかった。
この人も笑うんだ…。
「だったら俺と付き合ってよ」
「…はあ…別にいいですけど、あたしと付き合っても百害あって一利なしですよ」
「上等上等」
やっぱり謎。
大体あたしを好きなはずはないし、それ以前に女興味なさそうだし。
でも反面、あたしは彼に期待している。
この人はあたしを止めてくれるかもしれない。
「松田さん家行きたい」
彼の事知りたい…なんて、どうして思ってしまうんだろう。
「なんにもないよ」
「いいよ、行くだけ」
「泊まってけば?」
「…お世話になります」
取り敢えず、松田さんは深い事考えてないなってコト。
やっぱり他の男とは違うんだ。
なんだか新鮮。

この日以来、あたしはずっと松田さんの家にお世話になっている。
勿論何事もなく毎日が過ぎる。
そんな生活も10日経った日の午後、あたしは松田さんの部屋にいた。
あたしは学校もバイトも休みで、彼もどこにも行かず家にいる。
彼の部屋では何をするでもなかった。
手を繋ぐでもなく、キスをするでもなく、抱き合うでもなく…。
ただ、一緒にテレビを見たり本を読んだりするだけ。
密室に男女2人っきりでいるのに、アンタホントに女経験あんの?って言いたくなるくらい冷静だった。
大人なんだ、それくらいに。


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