投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

女王候。
【その他 恋愛小説】

女王候。の最初へ 女王候。 1 女王候。 3 女王候。の最後へ

女王候。-2

彼との関係が1週間近く続いた頃、バイト先の店でちょっとした事件が起きた。
客のオジサン達が酔っ払いながらあたしの胸やらお尻やらを触ってきた。
しかも少しも躊躇わずに触ってくるモンだから、さすがに腹立ってキッパリ言ってやろうと思った。
勿論最高級の営業スマイルで。
「あのー、お客さん?いー加減にしないと…」
「ブッ飛ばしますよ?」
咄嗟に声のした方を見ると、松田さんがオジサンの手を掴んで立っていた。
「そっそんなに怒ることないだろぉ。スキンシップだよっ」
そう言ってオジサンは松田さんの手から腕を振り払った。
「わかればいーんですよ」
「ふんっ」
お礼を言おうとしてあたしは彼を見たが、彼はその視線に気付かずに行ってしまった。

「お疲れ様でーす」
先に上がっていた松田さんのもとへ行き、今度こそお礼をした。
「あのっさっきはホント有難うございました!」
「あぁ…別にいーよ。見てるとウザかっただけだから。青木さん嫌そうだったし」
「…そうですか?でも助かりました」
「全然いいって。それより今日も来てるよ、アイツ」
「あ、ホントだ。じゃあお先失礼しまーす」
「お疲れ」

ヤバいって。
ヤラれた!
松田さんにヤラれてしまった!
見事に打ち抜かれた…。

今日もまたベッドの上で少しだけ会話をする。
今日で彼との関係を切るつもりだった。
「今まで何人と付き合った事あんの?」
「えー?そーゆう事あたしに聞くの?」
「いや、どんな数字が出んのかなーと思って」
「…こーゆーのを付き合うって言うんなら…軽く20人くらいかな。だけど本気で付き合ったのは1人だけ」「女王様だな」
「女王様だよ。今まであたしに引っ掛からなかった男なんて殆どいないのだ」
「でも意外。本気だった人いるんだ」
「何げに失礼」
「ごめん」
少し沈黙。
携帯で時間を確認した。
3時5分か。
「…ねぇ、もういい?満足した?」
「………」
「もう出てっていい?」
「…いいよ。楽しかった」
「それは良かった。じゃ、バイバイ」
そう言って彼の背中にひらひらと手のひらを振って部屋を出た。
結局そんなもの。
男なんて。

「講習なんか出てられっかつの!」
数日後のとある時間、あたしと友達のアヤは講習をサボって喫茶店に入り暇を持て余していた。
「奈央、その後どーなってんの?」
「えー?今はなーんも。暇人暇人」
「ふーん。奈央はちょっと学習するべきだよ」
「何をよ」
「男のいない時期というものを」
「そうかい?」
「そうだよ」
現在学習中だと思う。
というか、あたし自身遊ぶ事に飽きてきたような気がする。
少しだけ成長?

…あの人があたしを変えてくれるかもしれない。
そう信じてるから。



女王候。の最初へ 女王候。 1 女王候。 3 女王候。の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前