年の差-1-3
御飯も食べ終わり、後片付けをして、二人でコーヒーを飲んでいる。
テレビはつけない。
私は陸といるとき、極力そうしている。
テレビなんか付けなくても、話題はたくさんある。
彼の仕事のこと、私の学校のこと。
彼の周りにいる変わった人や、私の周りにいる面白い人。
10才差が何?と思うくらい、話題は尽きない。
「あ、私クリスマスプレゼントを持ってきた!」
陸に渡す。
「ありがとう…急がしかったのに。開けていいか?」
「どうぞ」
中には、雑誌や周りから聞いて、男性に人気のブランドのとこで買ったワイシャツ。
少し高いが、その分長持ちすることを見込んでの投資。
白い生地に、ストライブの柄が淡く入っている。
若い人に人気と、ショップの人が言っていた。
「ありがとう!丁度探していたんだ。でも…よく俺のサイズ、分かったな〜」
「普段から『サイズがない』って叫んでたじゃん」
彼は細いため、普通サイズじゃ大きくて、似合ってなかった。
それを考慮して、サイズのあるお店に行った。
「そっかぁ〜さすが、俺の彼女!」
「当たり前じゃん!誰だと思ってるのよ?」
「気が利く菜海ちゃん〜」
そう言って、ぎゅっとしてくれる。
この瞬間が、いつも幸せに感じることが出来る。
「あ、そうだ俺からも」
と言って、渡してくれたのは、両手に乗せても小さな箱。
シンプルで青とも緑とも言えない色をした紙袋を渡される。
「ありがとう〜開けていい?」
「どうぞ」
ゆっくり、リボンを外す。
何なのか楽しみだ。
この大きさなら、ピアスかなぁ?
開けてみると、そこには紙でクッションされた指輪があった。
恐らく、プラチナだ。
そこに、ピンク色の何か分からない石が埋め込まれている。
「貸してみ」
陸はその箱から指輪を取り出し、空いている左手で、私の左手を取る。
そして、左手の薬指に、その指輪を通してくれた。
びっくりするほど、ぴったりだった。
「ありがとう。こんないいもの、貰っていいのかなぁ」
左手の薬指に光るものを見ながら言う。
「ねぇ?陸?」
なんだか様子がおかしい。
私の顔を見ているだけ。
そんな普段から見られることないのに、今日はいつもと違って真剣な眼差し。
「ねぇ…り」
「菜海」
いつもより真剣な声。
少し、緊張する。
「うん?何?改まって〜」
陸を茶化す。
それにも、動じない。
この目、私は知っている。
そう…あの時と一緒。
『君をどうしたら送れるのかな?』
あのセリフを言った時と一緒。
あの時、陸が私に気があるって悟った。でも、確証はなかった。だから、茶化した。
今回は…何?
「それ、婚約指輪だから」
「…え?」
今、婚約指輪って…
「菜海と、結婚したい」