【DOLL:zero】-1
「…あぁ……あぁっ!!」
煤汚れた建物の壁に倒れ込む女。後ろから男が自身を女にねじ込み、強く打ちつける。
「…もうっ……もう……お止めくださ…いませっ!」
男は完全に酔っ払っており、酒気を帯びた口臭を女に吹きかける。
「…だまってろ女!!…おとなしくてめえの穴曝しとけっ!!殺されてぇのかっ!!」
女は恐怖で涙を流す。
おとなしくなった女の様子に気を良くした男は、さらに腰を振るペースを速める。
「はあっ……はぁっ……!」
男の荒い息づかい。
細い建物の隙間を反響して、肉と肉がぶつかり合う粘着質のある音が響く。
男は下腹部に熱いものが集まるのを感じ叫ぶ。
「出るぞ…出るぞ…!!……どえらく濃いのが!!たっぷり出したる!!」
ゲハハッと下卑た笑い声をあげる。
それを聞いた女ははっとし、男の腕から逃れようともがく。
「おやめくださいませっ!……私のお腹には……子どもが…子どもが!!」
「……知ったことか…!!てめえの子のことなぞ、わしには関係ないわ…!」
イクぞ!と男が叫んだ瞬間、女は身をよじって腕を抜けた。
「……ふぐっ!?」
達する寸前に女から抜けた男の精液は行き場を失い、またそのどす黒いブツの奥へと送り戻される。
「……このっ…くそ女がっ!」
男は怒鳴った。
収拾つかなくなった怒りから、無意識のまま右手を腰にやり、手にとった鉄の引き金を一気に引いた。
パンッ!!
乾いた音が壁を反響する。
弾は、走り去ろうとした女目掛けて真っ直ぐ飛び、躊躇なくその頭蓋を砕き、脳みその断片と血を吹き出させた。女は最後に二度と口にすることのない夫の名を呼び、その場へ崩れた。
ひゅう〜と男が声をあげ、ゆっくりと女の元へ歩み寄る。
女の頭からはおびただしい血が溢れ出していた。その血溜まりは濡れた地面に吸収され、周囲のゴミや虫の死骸などを呑み込んでいった。