jam! 第5話 『寝不足、のち初仕事』-4
「しかも最近見え始めた、ってのがまた厄介なんだよなぁ……」
「それも何か関係が?」
「あるんです。ほら、リショー君は何かを無くしたらどうします?」
「え?……探す、かなぁ」
「幽霊も同じです。もし首が急に無くなったとしたら何らかの行動を取るでしょう。その時は強い思念で動いているから、普通の人にも見えちゃうワケです」
……ってことは……。
「あ。じゃあ最近見え始めたって事は……!」
「そう、最近無くなった。つまり元から無いのではなくて、最近首を無くすような『何か』があった可能性が高いんです」
「……その『何か』が『あった』のか『いた』のかも問題だけどな」
二階堂さんは煙草を取り出して火を点けた。
「ま、要するに厄介事になる確率が高いってワケさ」
……うーむ。だんだん話が大きくなってきた。
とりあえず気になる事は一つ。
「えーっと、やっぱそれ放っておいたらヤバイんですか……?」
「ヤバイだろうな」
ヤバイんですか。即答ですか。
「仮に幽霊の首を切るようなのがいたら、そいつはまず間違いなく悪霊……もしくはかなり強力な何かだろうな」
「強力って……どのくらい?」
「まぁリショー君を襲った念魔と同等か、それ以上の存在だろうな」
……アレより強いのか。それは嫌だ。嫌過ぎる。
「ふん、ちぃとばかし厄介な事になってきたな。情報がもっといるなぁ」
「あ、じゃあ二階堂さん、あそこに行くんですか?」
「そうすっかな。最近行ってねーし」
「今から行きます?」
「あぁ。早い方がいい」
……話が見えてこない。
「あの、どこか出かけるんですか?」
「ん、そうか。リショー君はまだ知らねーのか」
「私達に協力してくれる人の所ですよ。リショー君も来ます?」
「え…、いいんですか?」
「別に構わねーよ。普通の客もいるはずだしな」
普通の客……?
「……で、どこに行くんですか?」
「街の方だ。店の名前は、『ハイロウ』」
二階堂さんはニヤッと笑う。
次の言葉に、耳を疑った。
「……喫茶店だ」