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at office
【OL/お姉さん 官能小説】

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at office2-3

「そんなわけ、ないだろ。」
昌樹がゆっくりと答えた。
「好きって言われて、嬉しかった。中途半端な気持ちであんなことした訳じゃない。でも、お前、朝起きた途端に慌ててシャワー行ったろ。」
それが?と、不思議そうな表情で顔を上げた美南に、昌樹は言葉を続ける。
「俺、起きてたんだ。杉下が起きる前に。お前が慌ててシャワーしに行ったから、てっきり俺との、その、昨日の行為を早く洗い流したいのかと思った。結構ショックだったんだぞ。それに、シャワー終わったらさっさと着替えて準備し出すし。そのうち俺また寝ちゃったけど、起きた時、俺がひっついたら慌てて離れたから。だからてっきり…。」
「私が、昨日の事忘れたがってると思ったんですか?」
あぁ、と頼りない返事が返ってきた。
「だから、朝、パン食べ終わったらすぐ出ていっちゃったんですか?」
あぁ、とまたしても頼りない声で返事が返ってきた。

お互いに、誤解していたんだ。やっぱり昨日肌で感じた昌樹の熱は嘘じゃなかった。ちゃんと気持ちが入っていた。
「じゃあ、昌樹さんは、私が好きなんですか?」
「……え?」
昌樹のいつになく頼りない声と、見たことのない恥ずかしそうな表情が質問の答えを出していたが、敢えてもう一度強気で聞いてみた。
「私は、2回も告白したのに、昌樹さんからは返事もらってませんよ?」
小首を傾げて顔を覗き込むと、不意に昌樹からちゅ、と軽いキスをされた。
「聞くなよ、そんなこっ恥ずかしい事。」

余りの嬉しさに、言葉が出ない。昌樹がそんな風に思っていたなんて。思わず目頭が熱くなる。
「美南、そんな顔、するなよ。」
「ごめんなさい。何か、安心しちゃって。」
美南、とまた呼んでくれた。昌樹の中でも誤解が完全に解けたのだろう。
「お互いに、同じような誤解してたなんて、何か面白いですね。」
へへ、と笑いながら目尻を指で拭う美南を見て昌樹は
「そんな顔するなって。我慢できなくなるから。」
と耳元で囁いた。
真っ赤な顔で俯く美南を見て、仕返しだよ、と満足そうに笑う。
まだ顔をあげない美南を見て、どうした?と昌樹が問いかけると
「…いいです。」
「え?何?」
「我慢、しなくていいです。」

もう言葉はいらない、なんてありきたりな言葉と思ってたけど、本当だ。昌樹の手から伝わる気持ちは、間違いなく自分と同じだ。
駅に向かうはずの道を、昌樹に手を引かれるまま逸れていき、ホテルに入る。
部屋に入った途端に昌樹が振り返り、美南を抱き締めた。
「美南があんなこと言うから…」
顔をあげ、昌樹の言葉を遮るようにキスをする。今は、昌樹の言葉より、早く体温が欲しい。早く、早く。
昌樹の手が美南の頭を支え、キスが離れられないようにする。それに応えるように首に腕を回し、何度も何度も角度を変えて深いキスを繰り返す。歯列をなぞり、舌を絡めて、時々軽く舌やら唇を吸う。口の中にも性感帯があるんじゃないかと思うほど昌樹のキスは気持ちがいい。空気を求めて距離をとると、すぐに昌樹の唇が追ってくる。
そんな事を繰り返しているうちに、段々力が抜けてきた。いつの間にか完全に昌樹に寄りかかっていて、頭に添えられていた昌樹の手も、自分を支えるように背中にある。頭がボーッとするが、酸欠のせいか気持ちよすぎるせいかわからない。
あ、このままじゃ立ってられないかも…。と頭の片隅で思った時、体が宙に浮いた。昌樹が美南を抱き抱えたのだ。
「ひゃあっ!!降ろして、歩けますっ!」
思わず叫んだが、軽々ベッドまで運ばれ、ふわりと降ろされる。
「お前、お姫さまだっこだぞ。もうちょっとお姫さまらしいセリフにしろよ。『ひゃあ!』って。」
美南の上に乗り、からかうように言う。だって!と言い訳をしようとしたが、昌樹の唇がそれを遮る。優しく髪を撫で、また何度もキスを繰り返す。少し重い昌樹の体重が、心地いい。
昌樹の唇が、不意に耳を食んだ。


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