out side #01〜始まりは図書室の中〜-2
「あの......用事って何か......することあるんですか?」
「あぁ...助手だよ助手」
そういって、末木は那弥に向かって、いつものおなじみの笑顔を振りまいた。
「あそこのね、本棚あるだろ? 上の方に俺の見たい本があるんだけれども...
この様に調べ物しては、本棚を探し...としていたらいつまで経っても終わらない訳だよ。
そこで、相沢。俺が言った本をキミが探して、
それで俺に渡すって役目をしてほしい」
正直これを聞いた那弥は面倒だと思った。
何故自分が...仕事なら一人でやればいいのに...などと思い、それが少々顔に出る。
末木もその那弥の表情の変化を察知したようだったが、
相変わらずの笑顔で、静かに「始めよう」と呟いた。
* * *
「...ずいぶん...高い所にあるんですね......」
那弥は棚を見上げて呟く。
「あぁ、そこにハシゴがあるだろ? それ使っていいよ」
「はーい......」
仕方ないという様子で那弥はゆっくりとハシゴを上り始めた。
しかし、上る途中である事に気付く。
このまま登っていくと危険だということに......。
もしも、末木がハシゴの真下から指示を出すという事にでもなれば...。
スカートの中が丸見えになってしまうのだ。
「あの〜...末木先生? ...ちょっと無理なんですけど......」
那弥はおどおどとした様子で末木の方を見る。
しかし末木は机の資料に目をやったまま、那弥の方を振り向きもしない。
「ん? 何がだ? ...あ、次その一番上端の本取って」
聞いてもくれない。相当忙しいのだろう。
しかし、那弥にとっては、この末木の対応は安心する要素を含んでいた。
つまり、末木は机の本で調べ物をしながら指示をだしてくる為、決して那弥の居るほうへは、来ない。
それどころか、見向きもしない。
「はぁ〜い」
安心した那弥は、再びハシゴを登り始めた。
指定された本を発見するとハシゴを降りて、末木の元へ持っていく。
このような作業が1時間ほど続いた。