trauma-2
(3週間か…)
長かった。仕事に追われながらも彼と会えない日々をとても心細く感じていた。そんな久しぶりの感情に戸惑いつつも、その気持ちはとても嬉しかったのだ。昨夜は本当のところ、待ち遠しくてたまらなかった。一人遊びを覚えてからというもの、うずくと止められない。
(やっぱり家に行けばよかったかしら)
そんなことを思っていると、中心からズクズクとうずいてくるのを感じた。そんな自分が恥ずかしくなり顔が赤くなる。まったく…
(いやだわ…あたしって…エッチね)
スッと彼が前から現れた。何だか恥ずかしいことを考えていた気持ちで顔が赤くなる。
「ほら、カルピス」
「あ…ありがと」
「…なんか顔赤いけど、平気?」
「平気よ!…そんなに赤いかな?」
「うん、結構」
彼はたぶんコーラを飲むのだろう。百合より一回り大きいコップに黒い液体が澱んでいる。
「疲れてたら、無理しないで言いな」
と、彼は優しく言う。
(…あぁ。なんて優しいんだろう)
「…違うの…久しぶりに会えて、…嬉しくて…」
「だから赤いの?」
「そうよ」
「…いいね」
「…何が?」
「百合からそんな言葉聞けて」
「…家に帰ればよかったわ」
「何で?」
「…」
それ以上はいわなかった。いえなかった。それに、きっと彼になら伝わるはずだということも分かっていた。なでなで、と先ほどのように彼は頭をなでてくる。百合は恥ずかしくてうつむいた。その手はそのままセミロングの髪をなでおろす。毛先をもてあそぶ。クルクル。ぞわ。いきなり彼は耳を触ってきた。ピクリ、と反応してしまう。
「百合」
すぐそばで声がして、見上げるとやはり近くに彼がいた。
「ん…」
目をとじて唇で触れ合う。だめ。周りを気にしてる余裕なんてない。
「んん…」
舌が侵入してきた。ぞろりと歯をなでる。快感を求める温度があがる。
「だ、だめ、浩一…」
そう呼ばれた彼はちょっと惜しそうに唇を離す。
彼の小さい眼をを見ると、奥には欲望の光が逸ってる。その光はキラメいて私を求めてる。ソレは私にも光ってるかしら。私の奥にもあるかしら。
「…わかったよ。続きは家でな」
彼は唇を離し、小さく言う。
そして次第に目の奥の光は理性へのものへと移っていく。
頭をなでる。本当はやめないでほしい。もっとしてほしい。体全体を愛撫してほしい。
(私の光はまだ欲望のまま…)
まだぼうっとする頭で静かに映画は始まった。