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雪の夜
【悲恋 恋愛小説】

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雪の夜-3

でも、今は数年前のそんな出来事が、ずいぶん遠くに感じられる。
頬は痩け、不精ヒゲを生やし、疲れた眼をしているアナタ。
そんなアナタの存在が、なにより離れて見える。

アナタはコーヒーを一口すすると、2本目のタバコを手にする。なにか落ち着かない様子。

「今日はどうしたの?」

私は思わず自分の気持ちを吐露してしまった。




どう切り出そうかと考える内に、見透かされてしまった。
オレは考えがまとまらない内に、オマエに訊いた。

「オレ達、何年付き合った?」


「……7年…ね…」



「長すぎたな……」



「アナタはそう思うの?」


「………ああ…」

「……もう、戻れないの?」




「……すまない……」




アナタはそれまでの迷った素振りを見せずに私に答える。

頭の中には、ありとあらゆる憎しみの言葉が浮かんだ。
でも、口から吐き出せない私。
かわりに込みあげる悲しみ。

「…け、化粧直してくるわ…」

これ以上、何かを言葉にしたら感情が抑えきれない。
私はそれだけ言って化粧室へ逃げた。


溢れる涙。
口元にハンカチをあてて嗚咽が漏れないようにした。

(笑って、笑って別れるんだ!)

思いに反して、涙が止まらない。その顔を鏡に映す。なんて情けない顔。
私は必死に涙を抑えて化粧を直す。きれいな顔をアナタの思い出にしてもらうため。




飲むコーヒーが苦い
。高校の頃からの付き合いだが、お互いが近所だったから小学校からの知り合い。

長すぎる関係。

空気のような存在。
オマエとの関係を、それで良いと言い聞かせていた。だが、これ以上、自分をごまかせない。

特別な存在が欲しかった。

ただ、それだけだ。


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