飃の啼く…第15章-23
飃は、私の頭を撫でて、そのまま上を向かせた。彼と目が合うように。彼の望みがわかるように。私は、うっすらと目を閉じる。同時に、飃の唇を感じる。私がちょっと背伸びをして、飃がちょっとかがんだところで出会う、言葉に出来ない情熱。
軽い、探るような口づけの後の、欲望のこもった熱いキス。飃が、私の腰に手を回し、私は飃の首に腕を巻きつけた。
深く。もっと深く。
そして、次第にお互いの手がさまよい始める。目を閉じていてもお互いが見えるように。
見えるよ、飃。ピンとたった耳。長くて柔らかい髪。しなやかな肉体を覆う、滑らかな肌。そこに走る、幾つもの傷跡。そして、ちょっとくすぐったい顎鬚と、お父さん譲りの鼻…もちろん、お母さん譲りの澄んだ金色の目も。
その全てを、指で、手のひらで、優しくなぞる。目のところまで来たときに、幽かに指を濡らすものがあった。ふふ。やっぱり変わってないな…。
飃の手は、私を持ち上げた。私は足を飃の腰に巻きつけて、押し付ける。
のどの奥から、ため息を漏らしたのはどちらだったか。
「あっ…」
首筋を舐められる。じん…と、体中の熱がさらに上昇する。
飃は、味わうようにゆっくりと、私の耳まで舐め上げる。
「あ…っ、ゃ…」
私をキッチンの台に座らせて、さらに執拗に耳をいたぶる。
「はぁぁ…っ!」
熱に浮かされた、私の声。口を閉じるのも忘れて、ただただ甘美な刺激にあえぐばかり…。
飃は、私の唇を舐め、時に噛み付きながら、私の下着を脱がせてしまった。
「つむ…っ、ここ、台所ぉ…。」
のどの奥で、くっくっと笑う。解ってるよ、と言う意思表示。それと、「だからどうした?」と言うひやかし。
性急に、情熱的に、飃は私を招き寄せた。私は台の淵へと移動した。飃は、ゆっくりと沈み込んでくる。
「っあ…!」
あまりの刺激に、手がかりを探す。飃の背中にしがみついて、はだけたシャツをぎゅっと握る。
息をする飃のかたが、大きく揺れる。ここまでほとんど言葉を発しなかった彼が、小さな声で、
「愛してる…。」
そう告げた。
彼は私の腰をしっかりと抑え、動き出した。
「あんっ、っあ、ぁ…!」
一突きごとに、高まりが私を襲う。